一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

第1章 植物油の基礎知識

植物油原料の世界的な輸出入状況
パーム油

世界に流通するパーム油のうち、インドネシア産とマレーシア産のものが世界の概ね9割弱を占めています。主要な輸入国は中国、パキスタン、米国ですが、その他にも様々な国々へと輸出されています。日本もこの2ヵ国から輸入していますが、その量は中国の概ね1割程度に過ぎません。

各国の輸入量の推移をみると、日本よりも中国や米国、パキスタンなどの他国の方が量も多く、伸びが著しいことがわかります。日本がパーム油を安定的に調達するためには、他国との競争に負けないことが重要です。

(出所) CHATHAM HOUSE「Resource Trade.earth」及びFAOデータより作成

大豆

大豆の輸出上位3か国はブラジル、アメリカ、アルゼンチンで、主要な輸入国は中国です。ブラジルとアメリカは大豆として輸出し、アルゼンチンは大豆油や大豆かすなどの一次加工品を輸出しています。

日本は大豆の約75%をアメリカから、約15%をブラジルから輸入し、日本国内で大豆油を搾油しています。

(出所) CHATHAM HOUSE「Resource Trade.earth」及びFAOデータより作成

菜種

菜種の輸出上位国はカナダ、オーストラリア、ウクライナです。日本は大半をカナダから、そしてオーストラリアから輸入し搾油しています。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナ産の菜種生産・輸出を大幅に減少させました。同国産菜種は欧州諸国に輸出されているため、まずは欧州での供給不足が生じ、続いて国際的な植物油の需給関係に影響を与え、主産国カナダにおける2021年産の大幅な作柄低下他による需給逼迫に加わる事になり、2022年の植物油価格の高騰に拍車をかけた要因となりました。

(出所) CHATHAM HOUSE「Resource Trade.earth」及びFAOデータより作成

ひまわり油

ヒマワリ油の輸出上位2か国はウクライナ、ロシアです。この2か国で世界中のひまわり油の50%以上を生産しています。主要な輸入国は中国です。

2022年、ウクライナでは、黒海に面するウクライナ南部の港湾都市オデーサといった輸出の拠点となる主要な港がロシア軍によって封鎖され、一時、輸出が大幅に減る事態になりました。従来同国産ヒマワリ油は欧州諸国向けが多かったため、ウクライナ侵攻を受けて供給不足が生じました。

(出所) CHATHAM HOUSE「Resource Trade.earth」及びFAOデータより作成

オリーブ油

オリーブ油の輸出上位3か国はスペイン、チュニジア、イタリアで、最近トルコも増えています。主要な輸入国は米国、スペイン、ブラジルです。

日本は、主にスペインやイタリアからオリーブ油を輸入しています。

(出所) CHATHAM HOUSE「Resource Trade.earth」及びFAOデータより作成