一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

植物油の道

日本の植物油事情

(5) 原料(油糧種子)の処理量

 日本の製油業は、1970年以前には様々な油糧種子等の原料を処理(搾油)していましたが、搾油数量の少ない原料は効率性の観点から徐々に減少しました。図19は、1970年以後の原料別搾油数量の推移を示しています。1970年代初めまではその他の原料の搾油数量がかなりありましたが、その後徐々に減少したことが分ります。この頃には、今では粗油の輸入に依存しているサフラワー、ひまわり、パーム核、コプラ(やし油の原料)等多様な原料を搾油していました。しかし、その後、搾油を停止して粗油の輸入に依存するようになり、今日に至っています。原料の搾油数量は2002年をピークに達し、2003年から減少傾向にありましたが、それは大豆の搾油量が大幅に減少したことによるものです。

 大豆の搾油量は、1980年代末から2000年まで350万トン前後で安定して推移していましたが、2001年に日本初の狂牛病(BSE)が発見され、その原因が輸入した肉骨粉を飼料として給餌したことにあるとされたことにより使用が禁止されました。この為、肉骨粉に代わるたんぱく質飼料として大豆ミールの需要が急増したことに対応して、大豆の搾油量が瞬間的に増加しました。しかし、その後は搾油の収益性が芳しくない状況が続いたため徐々に減少し2011年には搾油数量で菜種を下回りましたが、その後の収益性の変化に伴い2014年より回復増加に転じており、近年では菜種と同水準の搾油量で推移していましたが、2022年は菜種の不作による価格高騰影響を受け大豆搾油量が増加しました。

 唯一の国産原料である米ぬかは、こめ油の需要が強いにもかかわらず、米生産の減退に比例して米ぬかの発生量が減少してきたことから搾油量が減少していましたが、2010年代に持ち直し、近年では健康志向から更にこめ油需要が増加し搾油数量も増加していましたが、米ぬか不足により頭打ちがみられます。

図19 日本の植物油の原料処理(搾油)数量の推移

(単位:千トン)

(単位:千トン)

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資料:農林水産省「油糧生産実績調査」
注:その他は、べに花種子、ひまわり種子、落花生、パーム核、コプラ、ひまの種子である。

資料:農林水産省「油糧生産実績調査」
注:その他は、べに花種子、ひまわり種子、落花生、パーム核、コプラ、ひまの種子である。

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