一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

植物油の道

日本の植物油事情

(6)植物油原材料の輸入

 植物油の原料の油糧種子については、ほぼ全量を海外に輸入しています。その輸入数量は、大豆搾油量の減少に伴って2004年から減少する傾向にあり、2019年の輸入総量は609万トンで、ピークであった2003年の765万トンから156万トン減少。2020年は新型コロナ禍影響もあり577万トンに減少した後、2021年591万トン、2022年594万トンと回復を見せておりましたが、2023年は、販売価格上昇影響により製品の消費量が減少に伴い、548万トンに減少。大豆の輸入数量には、豆腐、納豆等に利用される大豆(食品用大豆と称しています)も含まれています。

図20 日本の油糧種子の輸入数量の推移

(単位:千トン)

(単位:千トン)

資料:財務省「貿易統計」

資料:財務省「貿易統計」

 油糧種子はどの様な国から輸入しているのでしょうか。一言で言うと、「特定国に集中する大豆と菜種、多くの供給国に分散するごま」と表現できます。世界の油糧種子の需給で述べました通り、大豆や菜種は他国へ供給できる余力を持つ国が限られています。この構図は、日本の大豆輸入にも反映され、搾油用についてはアメリカとブラジルの2か国に殆どを依存しています。

図21 日本の大豆の国別輸入量の推移

(単位:千トン)

(単位:千トン)

zu20

資料:図20に同じ

資料:図20に同じ

 菜種は、更に極端に供給国が限定され、図22の通り最近ではカナダに殆どを依存するようになりました。カナダとは官民共同の毎年定期的な協議の場(日加菜種協議)を開催して信頼関係を強くし、輸入の安定に努めています。

また、オーストラリアとも情報交換の場(日豪情報交換会)を設けて信頼関係を強化し、輸入の安定に努めています。

図22 日本の菜種の国別輸入量の推移

(単位:千トン)

(単位:千トン)

zu22

資料:図20に同じ

資料:図20に同じ

 大豆や菜種とは対極的に、ごまは供給国が分散していることが特徴です。ごまは収量が低く、機械化農業に適さない作物であるため、先進国では栽培が敬遠されたため、開発途上国に供給を依存しなければならないのが実態です。また、それぞれの国の供給力が小さく、生産の変動が大きいことから、毎年20~30か国から輸入することにより必要量を確保しています。

 2000前代半ばまで、中国は日本への重要なごまの供給国でしたが、中国国内の需要の急増と2004年の不作のため日本向け供給力を失うばかりでなく、他の国から大量のごまを輸入する国へと変貌しました。インドは、中国と並ぶごまの供給国ですが、日本はインドからの輸入を行っていません。インドでは、政府による統一した農薬の管理が十分に行われず、許容基準値を上回る残留農薬の心配があることから、日本は一切の輸入を行っていません。一方、エチオピアも数年前に高い残留農薬が検出されたことから、2006年から輸入を中断していましたが、日本の技術協力により現地での農薬の使用管理が厳格となり、出荷時における残留農薬分析能力が向上したことから残留農薬の懸念が解消し、2010年から輸入を再開しています。ごまの輸入量も、搾油用だけではなく食品用のごまを含んでおり、2023年の輸入量17万6千トンのうち搾油用が11万8千トンとなっています。

図23 日本のごまの国別輸入量の推移

(単位:千トン)

(単位:千トン)

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資料:図20に同じ

資料:図20に同じ

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