一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。
「技あり!ヘルシーフレンチ講座」では、植物油を使ったフランス料理をテーマに、皆様に旬な味わいのレシピをお届けしています。“植物油でフレンチ?”と首をかしげる方がおられるかもしれません。また、“フランス料理は好きだけど、バターは味が重くってね!”と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
新しいテーマに挑むのは、東京・六本木の「開運 お福ラジオ」料理長の田島加寿央シェフ。本場でフランス料理を学び、いくつかの厨房で修行を積んだ新進シェフは、日本各地の特産物を厳選し、“ロハス&ナチュラル”をコンセプトに、和とフレンチの新たな融合という課題にチャレンジされています。その田島シェフが、植物油を用いたヘルシーなフランス料理のレシピを皆様にご紹介。同じ素材、同じ料理でも、植物油を変えることで見事に味わいが変化する妙も、ぜひ味わっていただきたいところです。
レシピには、素材に“○○産”という形容詞がしばしば登場しますが、各地のすぐれた素材を植物油でアレンジし、素材にひそむチカラを最大限に引き出すのが田島シェフの基本テーマです。無論、皆様の身近にある旬の素材を用いていただければ、シェフも顔負けの味を引き出すことができるのではないでしょうか。ヘルシーフレンチで植物油の新しい魅力を発見してください。
さあ!Let' try!
特に一品目は、秋刀魚をメインに栗ご飯を付け合せて、“秋の味覚”と呼ぶにふさわしいメニューに仕上がったのではないかと感じています。
今や日本の秋の食卓に欠かせない秋刀魚は、太くなればなるほど脂が乗って旨いと言われます。目が透き通っていて、色がはっきりとして透明感がある秋刀魚を選びましょう。生姜醤油につけて食される方も多いと思いますが、今回は、あえて新生姜ではなく古い生姜(俗称=古根)をおすすめします。新生姜に比べると刺々しさはあるのですが、風味が明らかに異なります。これに「こめ油」を組み合わせることで、風味は豊かでありながら、格別なまろやかさを備えたドレッシングとなり、秋刀魚が持つ本来の甘味を最大限に引き出していきます。
もともとキンキは深海の寒い地域に生息するため捕獲が困難で、水揚げ量も非常に少ない魚です。したがって、なかなか口に入りにくいのですが、身が締まり脂の乗った、うす赤く染まったキンキは、見ているだけで食欲をそそられますよね。
金目鯛は、鮮やかな赤色、ゴールドに輝く目、小骨の少ない脂の乗った肉厚な身が特徴で、栄養価も高タンパクで低カロリーです。これらの鮮魚を、焼くのではなく“ヴァプール”(※フランス料理の用語で、本来は“湯気”の意味。素材を蒸気で加熱する調理法のこと)、つまり“蒸す”ことによってフワフワになった柔らかい食感は、里芋のネバネバ感と絶妙にマッチして、食欲の秋を十分に刺激するのではないかと思っています。
“アンショヤード”とは、アンチョビをピューレ状にしたものにニンニクを加えた、南仏を代表する、野菜にも肉類にも合う濃厚な個性派ソースです。今回は、このソースにクセの少ないグレープシードオイルを組み合わせることで、鮮魚や里芋の本来の味わいを損なわないように工夫しました。
また工夫ということでは、ぶどうの種に含まれている油分で作られたグレープシードオイルを使用していることもあり、マスカットをレシピに加えてみました。これが料理全体に瑞々しい印象を与え、味覚的にも新鮮なアクセントを加えることができたと考えています。
生姜と「こめ油」のドレッシングは、ぜひ“熟成の妙”をお楽しみいただきたいですね。時が経てば経つほど、次第に生姜がまろやかになって、絶妙なおいしさを醸し出していきます。
サラダはもちろんですが、マリネした魚なら何でもよくマッチしますから、ぜひお試しいただきたいですね。
また、新米に「こめ油」と酢を加える工程は、新米が温かいうち方が、味が良く馴染むので、必ず冷めないうちに行なってください。
グレープシードオイルは無味無臭でさっぱりしているので、素材そのものの味わいを十分に引き出すことが出来ますが、さらに素材にうま味をプラスするヒケツは、鮮魚を蒸すことによりにじみ出る“煮汁”にあります。
この煮汁をソースに加えることが、まさにフレンチの王道とさえ言える、欠かすことのできない重要なレシピなのです。