一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。
植物油の国際貿易量(輸出量)は年々増加を続け、図7の通り2001/02年~2022/23年(見込)の間に2.5倍弱に拡大。なお、新型コロナウィルス感染症影響もあり、2020/21年9,143万トン、2021/22年8,619万tと減少ですが、2022/23年は9,193万t(見込)と回復見込です。この数量は、植物油生産量の4割を超えるものとなっています。
油種別には、熱帯油脂と総称されるパーム油、パーム核油及びやし油の3油種が世界の貿易量の6割以上を占め、生産量でパーム油に次ぐ大豆油の貿易量は1割台を占めるに過ぎません。大豆油等油糧種子を原料とする植物油の場合、貿易は主として原料である種子の形態で行われ、消費国で油が製造されることが一般的であるのに対し、果肉から生産されるパーム油等は油の形態でしか国際流通できないという特徴がこの様な結果をもたらしています。
それぞれの油種毎の生産量に対する輸出量の比率(2021/22年)をみると、パーム油は62%と輸出志向型の油脂となっています。これに対し、大豆油等油糧種子から採取される油種については大豆油でも輸出比率は22%と低く、一般的には主に消費国で搾油し、生産されることを示しています。
(単位:千トン)
(単位:千トン)
資料:図1に同じ
注:その他の油種は、綿実油、落花生油、とうもろこし油、ごま油、オリーブ油、あまに油及びひまし油の合計である。
資料:図1に同じ
注:その他の油種は、綿実油、落花生油、とうもろこし油、ごま油、オリーブ油、あまに油及びひまし油の合計である。
輸出量が最も多いパーム油は、付随生産物であるパーム核油を含め、実質上はマレーシアとインドネシアの2国が輸出国となっています。これら2国は、パーム油関連産業を国家の重要産業として位置づけて育成してきました。その結果、国内需要を遥かに超える生産量を実現し、輸出に振り向けています。マレーシアでは生産量の86%が輸出されていますが、人口の多いインドネシアはパーム油の国内消費が多くなることから、輸出に振り向ける比率は55%となっています(2021/22年)。
大豆油についても、これらと同じ様な傾向が見られます。大豆油の生産量は、中国を除き、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンの順に多いのですが、輸出量では、アルゼンチン、ブラジル、アメリカの順です。アメリカが「世界のパン篭」の歴史を踏襲して大豆を輸出する責務を果たしているのに対し、大豆新興国であるアルゼンチンは、差別輸出税により大豆種子ではなく、大豆油と大豆ミールの輸出を推進しています。表4にある通り、2001/02年には同国で生産される大豆油の殆どが輸出に振り向けられていました。ブラジルも、以前はアルゼンチンと同様の差別輸出税政策を実行していましたが、1990年代半ばに差別輸出税政策を廃止したことから、アメリカに類似する傾向となっています。
一方、菜種油の輸出はカナダの独壇場となっています。以前は、国内搾油能力が小さかったことから菜種種子輸出に重きを置いていましたが、この10年余りの間に国内搾油能力を高め、菜種油を輸出しようという意向が強くなりました。
ひまわり油は、種子から採取する油としては比較的輸出比率が高くなっています。特に、ヨーロッパの穀倉地帯に位置するウクライナはひまわりをはじめ油糧種子の生産を積極的に推進し、輸出拡大を図っています。
資料:図1に同じ
注:輸出には前年産の油で充当されることがあるので、生産と輸出は同一年度で整合するものではない。
資料:図1に同じ
注:輸出には前年産の油で充当されることがあるので、生産と輸出は同一年度で整合するものではない。