私は今、一人の妻として母として家庭を守りながら、女優・タレントとして活動し、クッキングサロンも主宰しています。三足も四足もわらじをはいて、欲張りなんですね（笑）。

でも私にとっての基本は家庭を大切にすること。どんなに忙しくても規則正しい生活を送り、きちんと子育てをすることを第一に考えています。そんな姿勢は、私が理想とする両親から受け継いだものでしょう。

父の加山雄三は、何ごとにもこだわって追求する人。とてもエネルギッシュで、オフの日も家でゴロゴロしている姿を見たことがありません。絵を描いたり、料理をしたり、好きな歌を歌ったり、エレキを弾いたり……。私たちは4人兄妹なので、父兄会が重なったりすると、母と手分けをして父も学校へ来てくれました。そんな父が特に大切にしたのが家族の食卓です。夕食までには必ず仕事を終わらせて帰り、家族みんなと食卓を囲むように努力してくれました。会話を楽しみながら全員で食事をすることで、家族の絆がより深まったと思います。父はたびたびギャグや駄洒落を飛ばす楽しい人ですが、けじめは大切にしていました。ふだんは母が子供たちに厳しく、父はめったに怒ることはありませんでしたが、私も一度だけ、父の大事なお客様との食事の席でお行儀の悪いことをして叱られたことがあります。今思えば、食事を作ってくれた人やそれを一緒に囲む人への感謝、おいしいものをいただける幸せへの感謝などを、父にしっかりと教えてもらえたと思っています。

私が料理を好きになり、現在クッキングサロンを主宰しているのも、やはり父の影響でしょう。母は家庭料理が上手でしたが、父はレストランで食べたおいしい料理を再現するのが得意でした。月に一、二度はホームパーティを開き、家族だけでなくご近所の方も招いて中華料理などをふるまうんです。今でも、みなさんに「あのときのお父さんのお料理はおいしかったわね」などと言っていただくんですよ。その父の料理の下ごしらえや後片付けを手伝ったのが、私の料理の原点。長兄をはじめ兄妹もみんな料理が好きなので、今では父の日などに4人がそれぞれ料理に腕をふるい、父に食べてもらうのが楽しみなんです。とはいえ、私の子供たちを連れて両親の家に遊びに行くと、私も自然と娘に戻った気分に。子供たちと並んで席に着いて父がご飯を作ってくれるのを待ち、「おまえは料理教室をやってるんじゃなかったか？」なんて言われてます（笑）。

そんな私の料理教室は忙しい主婦でも簡単に作れる、おいしくて栄養バランスのとれたレシピが基本。もともと夫婦共働きの女性や、子育てで大忙しの主婦など、同じ立場の女性を応援したいという気持ちで始めたサロンです。だから幅広い年代の女性たちが集まって一緒に料理を楽しむだけでなく、会話を弾ませて情報交換をしたり、お手製の食材を譲り合ったり……。エネルギーにあふれた気分転換の場になっていますね。みなさんが笑顔で帰って行くのを見ると、私も喜びと元気でいっぱいになります。

さて私にとっては、ふだんの食事作りもリラクゼーションや息抜きのもと。たとえ疲れていてもキッチンで大好きな料理に集中していると、いつの間にか心穏やかにリラックスするんです。二人の息子にもお手伝いをさせますよ。例えば、餃子を作るときは粘土遊びみたいにUFOの形にしてみたりと、楽しくお手伝いさせることもありますが、そんなときは「自分で作ったものは責任を持って食べなさい」と教えています。

育ちざかりの子供たちのためにも、会社員として忙しく働く夫のためにも、栄養バランスのとれた食事を心がけますが、その栄養素の一つとして植物油は必要不可欠ですね。

朝から天丼が食卓に上るようなパワフルな加山家で育った私ですから、油を使った料理は大好き。サラダオイルはたくさん常備して、父直伝のチャーハンや炒めものにせっせと使っています。フライや海老しんじょうなど揚げものも作りますが、大切にするのは新鮮なサラダオイルをたっぷり使って揚げること。やはり揚げものは、きれいな油を使った家庭での揚げたてが一番おいしいですよね。

またサロンでも、よく生徒さんに上手な植物油の使い方を教えています。ふつうはバターを使う料理であっても、サラダオイルなど植物油を代用しても十分おいしく食べられるもの。ですからヘルシーな植物油を使って、体に不可欠な油をしっかり取り入れる方法を知っていただきたいんです。最近はコレステロール値を気にする方に、機能性オイルを使った料理を提案することもあります。これからも上手な植物油の使い方をどんどんご紹介して、大勢の方とともに、おいしく健康的な食生活を楽しんでいきたいですね。