一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

田島シェフの「おもてなしスイーツ日和」 バックナンバーはこちら
一流シェフから、素敵なレシピをご提案いたします
ベジタブル・オイル

甘味処「ベジタブル・オイル」を開店いたしました。
皆様がおなじみのスイーツも、植物油でちょっと一工夫するだけで、
ワンランク上の“おもてなしスイーツ”に美味しく変身を遂げます。
当店はそんな新感覚スイーツで皆様をおもてなしいたします。
おもてなしするパティッシェは田島加寿夫さん。
「技あり!ヘルシーフレンチ講座」以来久々に登場していただきました。
たとえばソースに植物油を少し加えるだけで、いつものスイーツが全く新しい上品な味わいに変身し、
洗練された甘さと滑らかな食感が広がっていきます。
そんな当店自慢のスイーツ「ベジタブル・オイル」を是非お召し上がり下さい。

【第10回】深まる秋は、米粉のクレープと林檎のテリーヌに舌鼓!
田島シェフ・インタビュー
田島シェフ
「田島亭」オーナーシェフ 田島 加寿央(たじま・かずお)
一品目でクレープに米粉を使われた意図を教えてください。
米粉の大きな特徴は、小麦粉に比べて水分をより多く含むことから、ケーキやパンの生地にすると、しっとりとした舌触りのきめ細かい仕上がりになることにあります。そして新米ならではのお米の香ばしさをスイーツに取り入れることも考慮してみました。米粉のしっとり感にブレンドされた白ごまのプチプチ感はとても良い相性で、これをごま油で風味良く生地を焼き上げていきます。小麦粉に白ごまを合わせても、反発とまでは言いませんが、あまり味が馴染みません。しかも小麦粉と比較すると米粉は油分の吸収率が低いので低カロリーに仕上がります。この米粉のクレープでカスタードクリームを包み込む手法は、中華の北京ダックを包み込んでいる皮からヒントを得てみました。
クレープの生地は、できれば一日ほど寝かせた方がよいそうですね?
米粉は水分を含むまで時間がかかるので、できれば1日、最低でも1時間は生地を寝かせた方が良いでしょう。寝かせるほどに生地が落ち着いてなめらかになり、パンケーキのような感覚で焼くことができると思います。焼き方の基本としては、表面の周りの生地が剥がれてくるような感じになった時に、ひっくり返して裏面を焼きます。焼き時間の目安としては、表面が2分で裏面は1分位。温度はやや弱めの中火で、薄く焼き上げることを心がけてください。米粉のクレープは、生クリームやアイスクリーム、そしてアンコなどのデザート系はもちろん、サラダ類を巻いて食べても美味しく召し上がることのできる万能派。お好みのフルーツを付け合わせれば、それはもうお洒落な軽食として成立してしまいますよね。
二品目は秋の林檎シーズンにふさわしいテリーヌですね?
このスイーツはあくまでも林檎のうま味を堪能するためのものとお考えいただくと良いでしょう。選ぶべき林檎の種類は「紅玉」など、できる限り瑞々しく、そして酸味の強いものの方がテリーヌにするには適しています。林檎の生の食感を生ではなく楽しみながら、同時に単なる酸味ではなく林檎ならではのうま味を含んだ酸味を味わうには、テリーヌとして加熱して煮込むことがベストな選択であると考えています。この林檎のテリーヌには生クリームはそぐわないので、お馴染みのサヴァイヨンクリームを組み合わせます。植物油はサヴァイヨンクリームの卵臭さを和らげ風味良くするためにサラダ油を使用しました。このサラダ油には、卵を風味良くするだけではなく、ソースとして卵自体をプルプルの状態に安定させ食べやすくするという役割もあります。
田島シェフ・プロフィール
ベジタブル・オイル

「田島亭」オーナーシェフ
田島 加寿央(たじまかずお)

<プロフィール>
1966年千葉県松戸市生まれ。
調理師専門学校卒業後、赤坂プリンスホテルのメインダイニング「ル・トリアノン」にて
5年の修行ののち渡欧し、スイス、フランスの本場フレンチを学び帰国。
東京・青山にある会員制ホテル「ウラク青山」のメインレストラン「ジョアン」の料理長などを経て、
現在は新松戸「田島亭」のオーナーシェフとして腕を振るっている。
最近は、松戸市が主催している食育をテーマとした料理教室など、
地域に根ざしたイベントへ参画する機会が増加している。

田島シェフがオーナーシェフの「田島亭」のご案内
白ごまの米粉クレープ ごま油風味のカスタードクリーム包み
ざいりょう材料(※4人分が目安)

<白ごまの米粉クレープ>

  • 米粉・・・50g
  • 薄力粉・・・50g
  • グラニュー糖・・・30g
  • 卵・・・3個
  • 無塩バター・・・85g
  • 牛乳・・・300cc
  • 白ごま・・・適量
  • ごま油・・・適量

<ごま油風味のカスタードクリーム>

  • 牛乳・・・250cc
  • ヴァニラビーンズ・・・1/2本
  • 無塩バター・・・20g
  • 卵黄・・・50g
  • 薄力粉・・・20g
  • グラニュー糖・・・60g
作り方
白ごまの米粉クレープ ごま油風味のカスタードクリーム包み 白ごまの米粉クレープ ごま油風味のカスタードクリーム包み 白ごまの米粉クレープ ごま油風味のカスタードクリーム包み

<白ごまの米粉クレープ>

  • ボールに卵・グラニュー糖・ふるいにふった米粉・薄力粉を良く混ぜ合わせ、そこに焦がしバターを加えて最後に牛乳を注ぎ入れ、裏ごしをして1時間ほど冷蔵庫で休ませておく
  • フライパンにバターを塗り、ごま油を垂らし、白ごまをふり、薄く生地を焼き上げる

<ごま油風味のカスタードクリーム>

  • 鍋に牛乳・ヴァニラ・バターを加え、沸騰直前まで加熱し蓋をしておく
  • ボールに卵黄、グラニュー糖、薄力粉を良く混ぜて滑らかにしておく
  • [2]に先ほどの[1]を加え、ゆっくりと加熱し、煮詰めていく

    ※仕上げとして、カスタードクリームをクレープで包み込み、ごま油を少し垂らし、のり巻きのように巻き上げてください。カスタードクリームは、お好みでカカオや抹茶風味に仕上げていただいても結構です。付け合わせとして、生クリーム(80cc)、グラニュー糖(30g)、ラム酒(10cc)の分量で作ったホイップクリームを添えて出来上がりとなります。
白ごまの米粉クレープ ごま油風味のカスタードクリーム包み
田島シェフのひとこと

米粉は粒子が細かいことから、揚げ物に利用しても具につく衣の量が少ないため、植物油の吸収が少なくなり、サクサクとした食感の生地に仕上がります。
そして白ごまをふると香ばしさが生地に遷移して絶品なので、ぜひお試しいただきたいですね。

白ごまの米粉クレープ ごま油風味のカスタードクリーム包み
白ごまの米粉クレープ ごま油風味のカスタードクリーム包み
林檎のテリーヌ シナモン風味のサヴァイヨンクリームソース添え
ざいりょう材料(※4人分が目安)

<林檎のテリーヌ>

  • 林檎・・・800g(※皮をむき1/8の大きさにカットしておく)
  • 林檎ジュース・・・75cc
  • グラニュー糖・・・95g
  • 白ワイン・・・250cc
  • シナモン・・・1/2本
  • オレンジ・・・1/2個(※皮と汁)
  • レモン・・・1/2個(※皮と汁)
  • ゼラチン・・・7~8g(※汁250ccに対しての割合)
  • カルバドス・・・少々(※通常のブランデーでも可)

<サヴァイヨンクリームソース>

  • 卵黄・・・2個
  • グラニュー糖・・・30g
  • 水・・・20cc
  • シナモンパウダー・・・適宜
  • 白ワイン・・・30cc

<「A」・・・作り方は、下記のすべての材料を合わせ、香りがつくまで弱火で加熱する>

  • コリアンダー・・・10g(※乾燥タイプのもの)
  • 生姜・・・10g(※千切り)
  • 黒コショウ・・・5g
  • 八角・・・1個
  • サラダ油・・・60cc
作り方
林檎のテリーヌ シナモン風味のサヴァイヨンクリームソース添え 林檎のテリーヌ シナモン風味のサヴァイヨンクリームソース添え 林檎のテリーヌ シナモン風味のサヴァイヨンクリームソース添え

<林檎のテリーヌ>

  • 鍋に、林檎ジュース、グラニュー糖、白ワイン、シナモン、オレンジ、レモンを合わせ、沸騰させそこに手早く林檎を加え、火を入れすぎないように加熱する
  • 型にラップをかけ、[1]の林檎を重ねていき、カルバドスを林檎にふり、煮詰まった汁にふやかしたゼラチンを加え、裏ごしながら林檎にかけ、ラップで包み込んで全体を冷ます

<サバイヨンクリーム>

  • 上記のすべての材料を合わせ、弱火でホイップをしてから、クリーミーなムース状態にしておく
  • 「A」をスプーン3杯加え、ソースとして仕上げる

    ※最後に、「林檎のテリーヌ」に「サヴァイヨンクリームソース」を添えて出来上がりとなります。
林檎のテリーヌ シナモン風味のサヴァイヨンクリームソース添え
田島シェフのひとこと

この料理は林檎の火の入れ方にポイントがあります。これは言葉で表現することが難しいのですが、林檎が本来持っている歯応えは残しつつ、火はしっかりと入っている状態に、いわゆる“しんなり”とした状態に加熱することがポイント。そうでないと、ゼラチンと反発してうまく林檎が切れなくなり、テリーヌとしての型を成さないのでご注意ください。

洋ナシの赤ワイン煮 サバイヨンクリームソース レモンタイムオイル風味
「ルネッサンストマト」のムースと「チュイル・ダンテル」  オレンジ&バジルオイル仕立て

このページを印刷する