一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。
毎日の夕食、不意のお客様へのおもてなし、晴れの日の献立‥‥、
おうち料理は私たちを健康に保つ上で最も大切なお料理です。そしてどんな料亭やレストランでもかなわないほど豊かなものですね。だから毎日のメニューを考えることは、とても創造的なおしごとです。植物油はそんな大切なおしごとをされる皆の優しいパートナーになりたいと願っています。
でも、どうすればおうちで植物油を上手に使えるの?そんなお悩みにお答えするのが、このコーナーです。
いつものお料理が、何気ない工夫で一段と美味しく、奥深いものに変身するかもしれません。気がつけば、当たり前のような植物油の利用法。 それで、皆様の食卓が、豊かで楽しいものになることを願っています。
レシピをご紹介いただくのは、創業100余年を数える東京・浅草橋「金田油店」のネット部門店長で、植物油を知り尽くしている青木絵麻さん。原料や製法によって香りや味わいがまったく異なる植物油の魅力が、青木さんの自由な発想と旬な食材によって見事に開花しているレシピを、隔月のシリーズでお届けいたします。
いつものスタンダードなお料理も、植物油の選び方や使い方次第で、旬な食材がおいしさを増し、皆様のレパートリーがぐっと増えた印象になるのではないでしょうか。 ぜひ今晩のおかずからチャレンジされてみてはいかがでしょうか?
「芹はとても歴史のある野菜で、「古事記」や「日本書紀」にもその名が登場しています。細い茎に繊細な葉・・・。とても香りの良い芹は気のめぐりを良くするという働きがあり、陽気が高まる春を健やかな心身で迎えるためには、うってつけの食材と言えるのかも知れません。今回は、シャキッとした歯ざわりの芹に、蟹のうま味がたっぷり楽しめるサラダ。ドレッシングに入ったキャノーラ油が、春らしく優しい、上品な風味をお届けします」
「あさりのうま味と春キャベツの甘さに、なたね油の柔らかい香りがよく合うパスタです。まずニンニクのみじん切りと唐辛子(鷹の爪)をサラダ油に加えて弱火であたため香りを出し、あさりとざく切りの春キャベツ、白ワインを加えたら貝が開くまで蓋をします。だいぶ硬めに引き上げたパスタをフライパンに移し、貝とワインの出汁を吸わせながらアルデンテにして、火を止めてからなたね油を回しかけて仕上げます。なたね油といっても玉締め搾りタイプは、焙煎の芳ばしい香りというよりも、柔らかな菜っ葉の香りがプ〜ンとします。味付けが、あまり重くなり過ぎないのでおすすめ。ベースをサラダ油、仕上げになたね油のダブル使いによって、オリーブオイルやごま油とは異なる、全く別の風味のパスタに変身させることができます」
「これまで、オリーブオイルをはじめ、ごま油、落花生油、パンプキンシードオイル、こめ油・・・。いろんな油を使って、ふだん使いのレシピをご紹介してきました。野菜がたっぷり摂れたり、ワインなどお酒がすすむレシピであったり・・・。いつもの素材のひと味違う香りを引き出すことで、ひと味違うレシピをご紹介できたのではないでしょうか?植物油はたっぷり使うから美味しいというわけではなく、大さじ一杯程度の分量でいつもの料理がグッと美味しさを増したり、満足感をもたらす奥深いメニューに変身するということに気づいていただけたとしたら、とても幸いです」
青木絵麻さんに、2年間にわたって24種類のレシピを紹介していただきました。読んでみたら「な〜んだ!」という印象をお持ちになったかも知れませんね。でも、その「な〜んだ!」が料理のコツだということを教えていただいたような気がしています。お酒が大好きとおっしゃる青木さん。じつは、ご紹介いただいたレシピの多くは、お酒をおいしく楽しむために考案されたとのお話も伺っています。
皆様の毎日の食卓を楽しくするために、油屋さんが植物油の上手な使い方についてヒントを差し上げるシリーズは今回でひとまず終わりといたしますが、近いうちに再度ご登場いただけることを期待して、青木さんにお礼を申し上げます。
「芹は茹で過ぎて、柔らかくならないように注意してください。もし芹が無ければ、菜の花や三つ葉を使われてもいいかも知れません。お好みの植物油を組み合わせてみてはいかがでしょうか」
「春キャベツは冬キャベツとは逆に、見た目よりも軽いものを選びましょう。巻きがゆるくて弾力があり、外側の葉の緑色が濃いものが新鮮。葉脈の太すぎるものや、芯の切り口の部分が変色しているものは避けてくださいね」