一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

お知らせ

製油産業における環境自主行動計画 ~平成21年5月19日改定(社)日本植物油協会~

~ 製油産業における環境自主行動計画を改定しました ~

(社)日本植物油協会では、去る5月19日の理事会におきまして、地球温暖化防止に貢献するため、平成16年7月に策定した「製油産業における環境自主行動計画」を改定し、新たな環境自主行動計画を策定いたしました。この改定は「京都議定書目標達成計画(平成20年3月閣議決定)」に基づくものです。

はじめに

当製油業界は食生活における基礎素材である食用植物油を製造する産業であり、非食用を含めて年間約210万トンの植物油を供給しているが、その97%は輸入原料から搾油・精製したものである。

植物油の製造は、油糧種子と称される原料から油を抽出し原油を生産する工程と、原油を精製し最終消費製品を製造する工程に分けられる。我が国の製油工場の多くはこれらの工程を一貫処理しているが、それぞれの工程が分離された工場も存在する。また、大豆・菜種のように大量の原料を処理する大規模装置産業型工場と、ごま油、米油など規模的には大きくないが、特徴ある製品を製造する工場が併存する構造となっている。

エネルギー使用の面からは、圧搾・抽出など高出力の装置を必要とする工程が多く、食品産業の中では相対的にエネルギー消費が多い産業と位置づけられる。このため、1990年代から大型工場を中心に、自家発電、コージェネレーション設備等省エネルギーもしくはエネルギー効率のよい設備への更新並びにCO2排出量の少ない燃料への転換を進めてきた。

一方、搾油後の種子粕は主に飼料として全量が有効利用され、ソーダ油滓、廃白土等の排出物は、有効成分の抽出や他用途利用が行われ、再資源化率は95%を超えている。

新たな「京都議定書目標達成計画」(注:平成20年3月閣議決定。2008年度から2012年度までの5年間で我が国の温室効果ガス排出量を6%削減するための計画)の実行に伴い、当製油業界としても一層の貢献を果たすため、これまでのCO2排出原単位目標を改定するとともに、新たにCO2排出量の削減目標を設定し、その適切な実行を図る。

温暖化対策について

【 1 】CO2排出量及びCO2排出原単位の動向と評価

CO2排出量及びCO2排出原単位は基本的に生産量の変動及び品質によって左右されるが、当製油業界は平成16年に策定した環境自主行動計画に基づき、コージェネレーション設備や省エネ型機器の導入、CO2排出量の多い重油等から都市ガス等への燃料転換及び工場、事務所における省エネ活動の徹底に取り組むことにより、CO2排出量及びCO2排出原単位の削減を進めてきている。

CO2排出量(t-CO2)は、年次による変動はあるものの、基準年度である1990年度の675千トンから2007年度は631千トンと6.4%減少している。

CO2排出原単位(CO2排出量(t-CO2) / 植物油生産量(処理量)(t) )も同様に年次による変動はあるものの、2006年度には0.292と基準年度の0.347から15.9%低下し、平成16年に策定した目標値(15%以上の削減)を達成した。2007年度は0.299とわずかに上昇したが、ほぼ目標に近いものとなった。

グラフ
(注)2006年度及び2007年度には、新たに参加した2社分を含むので、2005年度以前とは厳密には接続しない(以下、同じ。)。
グラフ
グラフ

【 1 】CO2排出削減目標と対策

( 1 )CO2排出削減目標

製油産業においては、エネルギー多消費型産業という基本的産業特性の下で、1990年代初頭から大型工場を中心として省エネルギー対策、CO2排出削減対策を推進してきた。

今後とも、環境保全の面から温暖化防止対策に寄与することは社会の一員として重要な課題であることから、引き続き、CO2排出量の一層の削減に取り組むため、平成20年3月に決定された「京都議定書目標達成計画」に基づき、平成16年に設定したCO2排出原単位の目標の引き上げを行うとともに、新たにCO2排出量の削減目標の設定を行い、その確実な推進を図る。

また、関係企業は、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)及び地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に適切に対応する。

①CO2排出原単位の目標

2006年度及び2007年度の平均CO2排出原単位は、0.295(対1990年度比15%減)であるという実績等を踏まえ、引き続き燃料転換、省エネ設備・機器の改善、エネルギー利用効率の向上等に取り組むことにより、2008年度~2012年度平均で1990年度比16%以上の削減を目指す。

【CO2排出原単位の目標】
目標年次 2008年度~2012年度平均
削減目標値 1990年度対比CO2排出原単位を16%以上削減

②CO2排出量の削減目標

新たなCO2排出原単位目標等を考慮して、2008年度~2012年度平均でのCO2排出量は1990年度比8%減を目指す。

【CO2排出量の削減目標】
目標年次 2008年度~2012年度平均
削減目標値 1990年度対比CO2排出量を8%削減

( 2 )具体的な削減対策

製油産業においては、エネルギー多消費型産業という基本的産業特性の下で、1990年代初頭から大型工場を中心として省エネルギー対策、CO2排出削減対策を推進してきた。

製油産業は製造形態が多岐にわたり、これまでの取り組みにも差異があることから、産業界一律の対策を講じることは困難な面がある。このため、各企業の実情に即したCO2排出量の削減に寄与しうる対策を選定・実行し、製油産業の総計として目標の達成に努めることとし、引き続き以下の削減対策に取り組む。

なお、CO2排出量削減の経済的手法である排出量取引の試行が平成20年度より実施されているが、本取引の利用については、各企業がそれぞれの実情に応じて対応するものとする。

ア.使用燃料削減・転換 重油からCO2排出量の少ない他のガス燃料やバイオマス燃料、電力への転換。
イ.高効率設備の導入・改善 1990年度対比CO2排出原単位を16%以上削減
ウ.運転管理の徹底・省エネ活動の推進 最適操業の追及及び工場・事務所における省エネ管理の 強化。
エ.運輸部門の取組 モーダルシフト、共同配送等の推進。
廃棄物対策について

【 1 】工場廃棄物の排出量及び再資源化の動向と評価

製油企業においては、精製工程で原油処理量とその品質に比例して発生するソーダ油滓及び廃白土の二つが排出物全体の約8割を占め、残りは汚泥、植物性残さ等である。

これらの排出物は、ソーダ油滓は工業用脂肪酸原料、廃白土は有機肥料の発酵助剤やセメント製造工程への利用、汚泥・植物性残さは肥料、廃油は油脂・油脂製品へそれぞれ利用されている。

この結果、総体での再資源化率は95%以上を達成しており、平成16年に策定した目標値を上回って推移している。

グラフ

【 1 】排出物の減量目標及び削減対策

( 1 )排出物の減量目標

製油産業の工場排出物の再資源化率は高水準にあるが、引き続き排出物の再資源化を進め、排出物を減量することを目指す。

目標年次 2012年度
目標値 産業排出物の再資源化率96%以上

( 2 )具体的な削減対策

各企業は、次に掲げる対策をはじめ、それぞれの実情に応じた適切な減量対策に取り組み、産業総体として目標値の達成に努める。また、関係企業は食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)に適切に対応する。

ア.ソーダ油滓、廃白土、汚泥、廃油について、高い再資源化率の維持・向上
イ.その他の工場排出物の再資源化の推進
ウ.事務所排出物の減量化の推進
環境自主行動計画の管理

各企業は、本環境自主行動計画に掲げる目標達成のため、ISO14000シリーズの活用、 環境管理委員会の設置等により、環境自主行動計画の進捗管理に努めるとともに、日本植物油協会は、引き続き毎年度フォローアップ調査を行い、その達成状況を確認する。

INDEXに戻る

pagetop