一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

植物油の道

4.油粕(ミール)の生産と流通

 ここまで、油糧種子と植物油の需給について述べてきましたが、油を採取した搾り粕であるミール(Meal)も製油業にとっては重要な商品です。代表的油糧種子である大豆に含まれる油分は20%程度で、ロスを差し引くと75%近くがミールになります。最も多く油分を含むごまでも、油分は50%前後ですから、製油業は油よりもミールを大量に製造している産業ということとなります。これらのミールは、優良なたんぱく質や糖質を含んでいますので、その有効利用は製油業にとって非常に重要な課題です。とりわけ、大豆ミールは量的に最も多く製造され、世界を流通する重要な商品となっています。搾油業をクラッシャー(Crusher)と称していますが、海外の大豆搾油業においては、油の採取が主業ではなく、ミールを製造するために油を採取すると位置づけされることもしばしばです。ここでは、ミールの中で最も重要な位置づけを有する大豆ミールについてご紹介することとします。

 大豆ミールは良質のたんぱく質を多く含むため、これまで多様な利用がされてきました。日本では、水田の肥料として重用された時期(1900年代初め)もありましたが、現在では、次の様な利用が一般的です。

① 家畜の飼料。配合飼料を構成する原料として、とうもろこしに次ぐ重要な位置づけ。
② 植物蛋白食品。日本では、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、から揚げ製品等の原料。
③ 醸造食品。日本では、醤油等の原料。

(1)世界の大豆ミール生産

 図12は、世界の大豆ミール生産量を示しています。大豆ミールの生産量は、大豆油の生産量に比例するので、中国、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンが大生産国となっており、これら4か国で世界の大豆ミール生産量の8割弱を生産しています。

図12 大豆ミールの国別生産量の推移

(単位:千トン)

(単位:千トン)

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資料:図1に同じ

資料:図1に同じ

 これら4大生産国の内、アメリカ、ブラジル及びアルゼンチンは大豆ミールの大輸出国でもあるのに対し、中国は若干の輸出を行っているものの、国内で殆どを消費しています。

 大豆ミールの需要の多くは家畜飼料用途であり、ミールの消費量は、畜産物、特に豚、鶏等中小家畜の生産と並行的に増減すると考えられます。しかし、中国では、2001/02~2017/18年の間に食肉の生産量が3割増加しているのに対し、大豆ミールの消費量は4.5倍と著しい増加となりました。家畜に与える飼料設計の変化も大豆ミールの消費量に影響することから、中国では家畜に与える飼料の成分構成に大きい変化が生じているものと考えられます。尚、中国において2018年から2019年にかけてアフリカ豚コレラ(ASF)が発生流行し飼育頭数が減少した為、大豆ミール消費量が2017/18年の75百万トンから、2018/19年69百万トンに減少しましたが、アフリカ豚熱(ASF)の沈静化に伴い2019/20年は71百万トンに回復後、2021/22年は73百万トンに増加、2022/23年は71百万トン見込です。

図13 大豆ミールの国別消費量の推移

(単位:千トン)

(単位:千トン)

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資料:図1に同じ

資料:図1に同じ

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