一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。
ここまで植物油の成分や機能についてご紹介してきましたが、図1に示したように、脂質は食品としての油脂だけではなく、日常的に食べる食材にも脂質が含まれています。現実に、日本人の日常生活においては、何気なく食べている食材から摂取する脂質の方が多いのです。これら食材に含まれる脂質を「見えないあぶら」とし、油脂類として直接摂取する脂質は確認することが可能なので「見えるあぶら」とし、両者の摂取状況を表したのが図2です。厚生労働省「国民健康・栄養調査」(2019年)によれば、一人1日当たりの脂質摂取量は61.3gで、そのうち48.3gが見えない油となっています。
(単位:一人1日当たりg)
(単位:一人1日当たりg)
資料:厚生労働省「国民健康・栄養調査」各年版
注:「国民健康・栄養調査」による脂質摂取量から、日本植物油協会で推計したもの
資料:厚生労働省「国民健康・栄養調査」各年版
注:「国民健康・栄養調査」による脂質摂取量から、日本植物油協会で推計したもの
脂質の総摂取量は1995年から一時的に減少傾向となっていましたが、ここ数年は再び増加傾向となっております。その内訳をみると「見えるあぶら」が徐々に減少する一方、「見えないあぶら」のうち動物性脂質の摂取がやや増加する傾向にあります。「あぶらを食べると太る」という意識が、管理しやすい見えるあぶら(サラダ油、マーガリン、バター、マヨネーズなど)の摂取を抑制している反面、肉類などの消費が増加するにつれて動物性脂質摂取が増加するという傾向が見られます。脂質を含む食材や油脂で調理した料理はおいしく感じることから、ついつい食べ過ぎになりがちです。また、加工食品や惣菜類には意外と多くの油脂を含むものがあります。これらのすべてに配慮して脂質の摂取を管理することは難しく、その結果が図2に現れていると考えられます。しかし、見えるあぶらとしての植物油の摂取だけを減らすことは、植物性脂質と動物性脂質の適正な摂取比率(1:1が好ましいとされている)を損なう恐れもあります。脂質摂取を減らすのであれば、動物性食品や油を多く含む加工食品の摂取を控えるようにする方が適切かもしれません。