一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

植物油とJAS制度

 かなり以前に、このホームページでJASに関するアンケートをお願いしたことがあります。その時のご回答を整理すると、「JASをよくご存じの方は16%」、「買い物の際にJASマークを参考にする方が11%」に過ぎないことが分かりました。JASの有効な機能を考えると、これは大変残念な結果でした。無論、その後、JASについてのご理解も高まっていると考えますが、大切な制度でありますので、「植物油とJAS」について一層のご理解を深めていただきたいと考えます。

 JASとは一体どういうもので、どのような意味や役割があるのでしょうか? 一口で言えば、商品の品質についての「安心のしるし」ということになります。JASは多くの食品が利用している制度です、とりわけ植物油はJASを大切にしてきました。ここでは、植物油とJASの深いかかわりについてご紹介しましょう。

JASは法律に基づく仕組みです

どういう法律でしょうか?

 JASは、日本農林規格を英文で表したJapan Agricultural Standardの頭文字を示したものです。これの基礎になる法律は「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(昭和25年制定)で、JAS法と通称され、農林水産省が所管しています。JAS法は、60年余りにわたって高品質で安全な食品の供給と品質に関する適正な表示の実行に寄与してきました。しかし、平成25年6月22日に「食品表示法」が成立し、JAS法に定められていた表示の基準は食品表示法に移行することとなり、平成27年より「食品表示基準」が施行されました。これに伴い、JAS法の名称から品質表示が削除され、「農林物資の規格化に関する法律」と変更されることとなりました。

 JAS法は、農産物や食品を供給するためには、次の事項が重要であるという考え方を基本として、制度が作られています。

  • 【1】安全で安定した品質・規格の農産物や食品を消費者の皆様にお届けすること。
  • 【2】工場においてきちんとした生産管理が行われること。
  • 【3】公平・公正な規格に基づいて安心できる取引が行われること。
農林規格(JAS規格)

 JAS制度は、適正な認証及び試験等の実施を確保する「JAS規格制度」と、飲食料品以外の農林物資の品質表示の適正化の措置を講ずる「品質表示基準制度」の2つからなり、これら2つの制度によって、農林水産業及びその関連産業の健全な発展と一般消費者の利益の保護に寄与することを目的としております。なお、平成27年4月の食品表示法の施行に伴い、JAS法の食品表示に関する規定が同法に移管されたため、現時点でJAS法に基づく品質表示基準はありません。

また、これまでJASの対象は、モノ(農林水産物・食品)の品質に限定されていましたが、モノの「生産方法」(プロセス)、「取扱方法」(サービス等)、「試験方法」などにも拡大しました。また、JASの対象の拡大に伴い、現行の認証の枠組みを拡充するとともに、国際基準に適合する試験機関を農林水産大臣が登録する登録試験業者制度を創設しました。また、この場合、広告、試験証明書等にJASマークを表示することができるなど、新たなJASに対応したJASマークの表示の枠組みを整備しました。

現在、国内で定められているJAS規格は、下表のようなものがございます。

分類 規格の名称 規格数
飲食料品 農産物缶詰及び農産物瓶詰、食用植物油脂など 53
有機 有機農産物、有機加工品、有機飼料など 5
生産情報公表 牛肉、豚肉、農産物など 4
農産物(非食用) 畳表、日持ち生産管理切り花 2
林産物 製材、集成材、合板など 12
取扱方法 有機料理を提供する飲食店等の管理方法など 5
試験方法 生鮮トマト中のリコペンの定量-吸光光度法など 7
用語 錦鯉-用語 1

 飲食料品に関するJAS規格は、一般に広く普及している標準的な飲食料品について定められています。したがって、たとえば食用植物油脂について言えば、まったく目新しい油種については定められていないことになります。また、JAS規格のレベルは国際的に見ても非常に高いものとなっています。つまり、品質についてJAS規格を満たしているということは、その工場が優れた品質の製品を製造するだけの高い技術レベルにあることを示すものとなっています。

 それでは、製品がこれらの規格を満たしてさえいればよいのでしょうか。実は、これらの規格を満たすことはJASの最低限必要な条件に過ぎません。自社の製品にJASという言葉を使用し、JASマークを表示するためには、定められた規格を満たす製品を安定して製造できる能力を有する工場であり、工場の生産管理が適正であることが厳しくチェックされ、JASにふさわしい工場であるという国の基準にしたがって認定を受けることが必要になります。そして、毎年、国が指定する認定機関により適正な生産管理が遵守されているかどうかの確認が求められます。そして、実際の製品の出荷に当たっては、JAS規格を満足するかどうかの検定(「格付」といいます)を通過したものだけがJAS製品であることを表示することができます(これについては、後述します)。

 このJAS法の認定を受けるかどうかは任意ですが、日本植物油協会に参加する製油企業は、このような厳しいチェックを受けた製品を取引の基準にするべきであるとの考え方から、食用植物油脂を製造しているすべての工場がJASの認証を受けています。

JASは、なぜ「安心のしるし」なのでしょうか

 JASの格付けを行った製品は「安全のしるし」とされているのは、どのような理由によるのでしょうか。JASの格付をするためには、先に述べましたとおり、法律に基づいて工場の生産管理、品質検査など厳しい要件を満たすことが必要になります。食用植物油脂について、なぜ「安全のしるし」となるのか、それらの鍵を解いてみましょう。

(1)一つ目の鍵 法律が守ります

 JASの格付をするためには、法律に従って厳しい審査に合格したことを認証された工場(「認証工場」といいます)で製造され製品であって、JASの規格値に合格することが必須要件になります。この格付は、認証工場自身の品質検定により行うこともできますが、食用植物油脂の場合は、信頼できる第三者の検査機関である公益財団法人日本油脂検査協会の検査を受けることとしています。

 このような格付に加え、行政機関(農林水産省)が市場に流通しているJAS製品を随時検査して、規格や表示が基準に合っているかどうかを絶えず監視しています。もし、基準を満たさない製品が流通していることが判明すれば、認証工場の取り消しなどの厳しい処分を受けることとなります。

(2)二つ目の鍵 認定工場が生産管理を徹底しています (2)二つ目の鍵 認定工場が生産管理を徹底しています

 認証工場の資格を得るためには、まず、製造、保管、品質管理などの施設・装置が法律の基準に適合していることが必要になります。

 更に、生産工程の管理や品質の管理を専門に担当する人員の配置が必要になります。これらの任務を担当するためには、JAS法に定められた講習を受け、資格を得ることが必要です。このほか、食品衛生法で定められた食品衛生管理者が配置され、適正な製造管理や品質・衛生の管理に当たっています。これら法律に定められた要件に加えて、認証工場では自主基準を設けて、使用する原料や材料、製造工程から製品に至るまでの管理や品質検査を行っています。

(3)三つ目の鍵  登録認定機関による定期的な厳しいチェックが行われます (3)三つ目の鍵  登録認定機関による定期的な厳しいチェックが行われます

 JAS工場の認証は、国の代行業務として登録認証機関(食用植物油脂の場合は、公益財団法人 日本油脂検査協会)が行っています。日本油脂検査協会は、工場が法律を遵守して製造や品質管理をきちんとやれる能力を有していることを確認し、JAS格付け製品を製造する工場として認証する業務を行っています。認証後は、毎年、定期的に認証工場を訪問し、施設・装置が引き続き法律に基づく基準を満たしていること、製造管理、品質管理が法律を遵守して実行されていることを確認し、不充分なところがあれば改善を指示しています。

 また、日本油脂検査協会は、認証工場からの委託を受け、JASの格付をする製品について、規格・基準を満たしていることについて公正で正確な品質検査を実施するだけではなく、市場に流通しているJAS製品を買い上げて、規格や表示が基準を満たしているかどうかの自主検査を行い、JASマークの付いた製品のアフターケアを行っています。

 図1は、これら三つの鍵の関係を整理して図示したものです。

図1 「安心のしるし」三つの鍵

図1
(4)補助の鍵 製品への信頼性に対する企業の姿勢であること (4)補助の鍵 製品への信頼性に対する企業の姿勢であること

 JASは任意に適用される規格です。したがって、JASの認証工場になることは、食用植物油脂を使用していただく方々に信頼のおける製品をお届けするという製造企業の強い意思を示しているということができます。同時に、ここに述べた3つの鍵を備えた厳しい管理を完全に実行して優れた製品を供給できるという企業の自信が込められています。

 日本植物油協会の会員企業で食用植物油脂を製造している工場は、全てがJASの認証工場となっています。JAS規格は家庭用の製品を主な対象とする制度ですが、食用植物油脂のJAS制度の発足以来、日本植物油協会の会員企業は市場から不良品を排除しようという意気込みをもって、家庭用の商品だけではなく、レストランや料理店で使用される業務用の商品、他の食品加工産業で利用される加工用の商品のすべてについてJASの格付ができる製品を基準にして市場を作り上げてきました。このような事情から、食用植物油脂は多くの食品の中でもJAS格付率が最も高いものとなっています。言い換えれば、JASを大切にすることにより、消費者や食品加工業界の信頼を築き上げてきたということができるのです。

(5)JAS以外の植物油脂は安全ですか

 JAS規格は、広く流通する製品について定められています。食用植物油脂については、一般に使用されている普通のサラダ油などの規格が定められていますが、流通量の少ない新規の油種や、企業が様々に工夫した製品には法律上の「食用植物油脂」に該当しないものがあります。

 このような油脂の安全を確認したい方は、製造している企業が普通の食用植物油脂でJASの認証を受けているかどうかをご確認いただくことで疑問は解消します。というのは、認証工場は、これらの目新しい製品についてもJAS製品と同様に厳しい生産管理を行っているからです。JASによって信頼を確立していることが、これらの製品を生み出す原動力になっていると言ってもよいでしょう。したがって、JASマークこそ付いていませんが、それらの製品にもJASの「安心のしるし」の強い思いが込められているのです。

(6)輸入される油のJAS格付け

 輸入される食用植物油脂については、以前には、国が認めた第三者の検査機関等によってJAS規格を満たしているということが確認されればJASマークを付けることができました。しかし、平成17年の制度改正によりこの制度は廃止されました。これに代わって、輸入油を製造している工場や輸入業者が、国内のJAS認証工場と同様の生産・品質管理ができると認められる場合に、JAS認証が得られる制度が作られています。したがって、輸入植物油脂もJAS格付が可能ですが、これまでのところ、JAS認証を受けた海外企業はなく、したがってJAS格付けを行った輸入製品はありません。もし、店頭などで輸入された商品にJAS製品と見まがう表示が行われていることがあれば、それはJAS法に違反しているものかもしれません。

(7)信頼の証 JASマーク

 JASに基づく認証工場で製造され、格付けを受けた製品には次に示す「JASマーク」を添付することができます。このマークこそが、安全と安心のしるしなのです。

図2 JASマーク

図2

 このマークで、上段の記載は2種以上の油種を混合したサラダ油であることを示し、下段の認証機関に検査を依頼してJAS規格に適合することを確認したことを示しています。このマークは、ボトルの裏や横側に記載されていることが多いので、商品をお買い求めのときは、是非、このマークを探していただきたいものです。

3.食用植物油脂のJAS規格

 それでは、食用植物油脂の品質に関するJAS規格を具体的にご紹介しましょう。

(1)対象となる食用植物油脂

 JASの対象とされている食用植物油脂は、消費者(使用者)の皆様に広く利用され、なじみの深い油脂(大豆油など16種類)、それらの油脂を調合した製品、油脂に風味付けした香味食用油の18種類の食用植物油脂で、表2のとおりそれぞれに規格が設けられています。これらの規格は概ね5年ごとに見直すこととされており、食用植物油脂のJAS規格は、平成30年に改定された内容になることにご留意ください。

表2 植物油脂のJAS規格

 表2で等級とされている「サラダ油」は、精製油より精製度の高いもので、低温下においても濁ったり、固化することのないサラサラ感のある油です。もともとは製油企業がサラダ用の食用油として開発したものでしたが、JAS規格として定めるときにサラダ油の名称をそのまま等級名に用いることとなりました。このため、一般的な商品名ではなく、JAS規格が定められていない植物油脂やJAS格付けの行われない製品については、品質が全く同等であってもサラダ油という名称は使用できないこととなります。

(2)規格の構成と目的

 表2の食用植物油脂のJAS規格は、安全で安定した品質を保った製品が供給できるよう、表3のとおり3つの角度で構成されていています。

表3 JAS規格の構成

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(3)食用植物油脂の確認

 食用植物油脂は、自然の恵みによって作られる植物の種子などを原料とし、その油分のみを抽出、食用に精製したピュアな食品です。したがって、同じ種類の原料から搾油した油であれば、品種や産地の相違、生育時の天候状態により製品に微妙な差異が生じることがありますが、含まれる油分の成分構成や品質は一定の範囲にあります。表2の油種の確認欄は、この一定の範囲において油種ごとの特性についての数値を定めています。

 この規格について、科学的な意味を簡単に説明しましょう。

油種の確認油種の確認

 製品が表示されたとおりの食用植物油脂であることは、表4に示した油種ごとの特性値を調べることによって確認できます。

表4 JAS規格における食用植物油脂の特性値

表-1 食用植物油油のJAS規格(特数値)
  • 1)比重と屈折率で、植物油脂を構成する脂肪酸の長さと不飽和度の状況がわかります。
  • 2)けん化価で、植物油脂の平均分子量がわかります。
  • 3)よう素価で、油脂の不飽和度がわかります。
  • 4)不けん化物で、油脂に含まれている特有の成分の量がわかります。
  • 5)脂肪酸組成で、植物油脂を構成する脂肪酸の種類と量(比率)がわかります。
  • 6)固形状の植物油脂については、上昇融点で液状に変化するときの温度がわかります。

品質の確認品質の確認

 製品の品質は、精製度合いを判定できる以下の検査で確認できます。

  • 1)一般状態は、植物油脂の清澄度と風味を視覚や嗅覚・味覚で評価します。
  • 2)色は、黄色と赤で組合せて測定して、それぞれの植物油脂特有の色を数値で評価します。
  • 3)水分夾雑物は、水分と植物油脂特有の濁りなどの量を評価します。
  • 4)酸価は、植物油脂に含まれている遊離脂肪酸を測定して、精製度合いを評価します。
  • 5)過酸化物価は、植物油脂の酸化による劣化度合いを評価します。
  • 6)不けん化物は、植物油脂の確認と同時に、精製度合いがわかります。

 国内で製造される食用植物油脂については、日本植物油協会会員以外の多くの企業もJAS工場認証を受けており、JAS規格を充足しない油を供給することはほとんどあり得ないのですが、輸入される食用植物油脂については、JAS規格を十分に理解していないためJAS規格を充足していないにもかかわらず、ときおり誤った表示をする事例がみられます。しかし、これらの数値を調べることによって表示の適否を確認できることとなります。

(4)食品添加物

 JAS格付けを受けた食用植物油脂の名称を用いる家庭向けの製品には、天然型のビタミンE(α-トコフェロール:植物油自体に豊富に含まれ、抗酸化作用を有する成分)を除き、食品添加物を一切使用してはいけないこととされています。したがって、JASマークのある食用植物油脂に前期のもの以外の食品添加物が使用されることはありません。しかし、JAS規格の対象ではない製品はこの限りではなく、ビタミンCなどの抗酸化剤が使用されていることがあります。また、輸入される油の場合には、それぞれの輸出国で認められている酸化防止剤や消泡剤などが使用されていることがあります。これらは、輸出国の法令で表示義務が課せられてない場合であっても、日本国内で販売するためには必ず表示をしなければなりません。しかし、その表示を失念している事例もみられますので、公益財団法人油脂検査協会では輸入油について随時の検査を行い、その結果を政府に報告して適正な処理を求める努力をしています。

 なお、JAS格付けを行った食用植物油脂であっても、業務用として出荷するものについては、大量の揚げ物をする場合の事故を防止するため、ごく微量の消泡剤(シリコーン樹脂)を添加することが認められています。この業務用として出荷された製品(4kg以上の大型の容器入り)が、大型のスーパーなどで家庭向けに販売されることがあることをご理解ください。

4.食用植物油脂の安全性のチェック

 これまで述べてきたように、JAS法は品質などに関する基準を定める法律です。したがって、製品の安全性にかかわる残留農薬や毒物混入の規制は食品衛生法に基づいて行われることとなります。

 植物油脂の場合は、先ず、輸入される原料が政府によって残留農薬などが検査され、許容基準を満たすものだけが輸入を許可されるので、この段階で原料に残留した農薬による安全性に対する懸念はなくなります。また、輸入される植物油脂についても農薬の残留許容基準が定められ、これをクリアできたものだけが輸入を許可されます。

 このような入り口でのチェックに加えて、JAS格付が行われた食用植物油脂については、各メーカーが自主管理基準を設け、自社での検査に加え、第三者の検査機関である公益財団法人日本油脂検査協会などに残留農薬などの定期的な検査を依頼し、安全性の確保に万全を期しています。更に、公益財団法人日本油脂検査協会では、必要に応じて残留農薬についても検査を行うことができるように体制を整備しているところです。

お問い合わせ

 さて、食用植物油のJAS制度と、私ども日本植物油協会の会員企業がこの制度を大切に育ててきたことをご理解いただけたのではないでしょうか。

 食用植物油脂のJASについてもっと深く知りたいという方は、日本植物油協会のほか公益財団法人日本油脂検査協会にご質問をお寄せいただきますようお願い申し上げます。

 公益財団法人日本油脂検査協会へのお問い合わせは、次をご利用下さい。
 ホームページ:http://www.oil-kensa.or.jp/

5.植物油製品の表示

 食品の表示に関する法律は「JAS法」、「食品衛生法」等、複数にまたがっていましたが、食品を摂取する際の安全性及び一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するため、食品衛生法、JAS法及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合して、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度として、平成27年4月より食品表示法に統一されました。食品表示法では、食品表示基準に基づき、食品の区分(加工食品、生鮮食品及び添加物)及び事業者の区分(食品関連事業者とそれ以外の販売者)毎に、義務表示、任意表示、表示の方法、表示禁止事項等を定め、2020年度から適用が開始されています。

表-1 食用植物油油のJAS規格(特数値)

 食品表示基準における一般用加工食品での義務表示事項としては、『名称』『原材料名』『アレルゲンを含む原材料』『添加物』『原料原産地名』『遺伝子組換え食品に関する事項』『内容量』『賞味期限』『保存方法』『食品関連事業者の氏名又は名称及び住所』『製造所又は加工所の住所及び製造者又は加工者の氏名又は名称』等です。
 これらを容器包装の見やすい箇所に、一括して記載するするとともに、『栄養成分の量及び熱量』の表示も義務化されました。

表5  食用植物油脂の一括表示(例)

表示事項 表示内容の説明
名称 食用〇〇油
原材料名 構成成分を記載する。植物油はピュアな単一成分(油脂)で構成されているので、食用なたね油、食用大豆油などと記載する。2つ以上の油種を混合した調合油の場合には、混合割合の多い順に記載する。
添加物 使用した全ての添加物を「物質名」等で表示する。尚、事項欄を設けずに、原材料名の欄に原材料名と明確に区分(「/」等を挿入)して表示することができる。
原料原産地名 使用した原材料に占める重量の割合が最も高い原材料について、原材料の原産地名を「国別重量順表示」、「製造地表示」等で表示する。尚、事項欄を設けずに、対応する原材料名の次に括弧を付して表示することができる。
内容量 重量で表示。植物油脂は温度により比重が大きく変わるので、液状ではあるが容量ではなく、重量(g又はkg等)で表示する。
賞味期限 植物油脂の品質特性が十分に発揮できなくなる時期を記載。容器によっても異なる。
保存方法 「直射日光を避け、冷暗所で保存」等、保存の仕方(光の射さない場所、低温の場所、栓をしっかりするなど)を適切に記載する。
食品事業者等の氏名または名称および住所 表示内容に責任を有する食品事業者等の氏名または名称および住所を記載する。

 尚、アレルゲンについては、食用植物油で関わるものは落花生と大豆、ごまでありますが、油脂中の総蛋白質が数㎍/g含有レベルに満たないことから表示の必要はないとされてます。しかしながら、食用植物油では原材料等に食用落花生油、食用大豆油、食用ごま油という記載をしておりますので、必然的にアレルギー表示を行っていることになっております。また、遺伝子組み換え表示についても、食用植物油は、最新の技術によっても組換えDNA 等が検出できないため、表示義務はありません。