時間栄養学とは

5.週間健康科学

 人には、人が文化的に作った1週間という単位でリズム現象がみられるということがあります。一般的に、概日リズムより周期が長いリズムをインフラディアンリズムと称しますが、その中でも約1週間のリズムはサーカセプタンリズムと呼ばれています。ブルーマンデーという言葉があるように、月曜日は憂うつなもので、仕事などがなかなかはかどらないことがあり、また週の初めに体調を悪くする人もいます。勤労者では、月曜日に心筋梗塞や脳出血の発作の頻度が有意に多いことも報告されています。したがって心筋梗塞の発病や脳出血の発作を防ぐためには、この月曜日に注意して投薬することが必要になります。
 また産業事故が月曜日に多いことも知られ、これは休日が続いた後の「不慣れのための事故」によると考えられます。これらのことを考慮すると、人の1週間単位のリズムも考慮して、授業や仕事のスケジュールを決めることが望ましいということになります。
 Weekday とWeekendの過ごし方が週間リズムにかかわり、健康に影響することが考えられます。肥満防止や健康・寿命の増進にカロリー制限が有効なことはよく知られていますが、毎日続けることが困難な場合には、1週間のうち1~2日だけでも80~70%のカロリー制限をすることで効果が得られると考えられます。そこで週間栄養学という考え方に立って、マウスを15%の牛脂が含まれた餌で7日間飼育する実験を次の群に分けて実施しました。
 ①7日間とも高脂肪食とする群
 ②5日は高脂肪食で、2日は普通食とする群
 ③5日は普通食、2日は高脂肪食とする群
 ④7日間とも普通食とする群
 この実験結果は想定どおり、体重の増加、内臓脂肪の形成は、①から④の順番に高いというものとなりました。このなかで②が意外と太る理由としては、マウスがこの給餌スケジュールを学習するようになり、低脂肪食の提示日は、食事を我慢し、次にくる高脂肪食をリバンド摂取することが分かりました。このことは、低カロリー食の有効性を実現するためには週間単位で出現するこのリバンド過食を軽減することが必要でがあることを示しています。

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