「〇×油は体に悪い」などという書籍の宣伝が大手新聞の広告欄に掲載されることもあり、驚かされます。この手のものは、○×油に含まれる△□脂肪酸は、過剰に摂取すれば、悪影響を引き起こすという昔からある単純なロジックによるものに過ぎません。
  食品のリスクマネージメントの基本が理解されていないものが殆どです。何によらず食べ過ぎれば、健康へのリスクになり得ます。例えば、身体に不可欠な「塩」も、もちろん食べ過ぎれば健康を害します。こうした論者のロジックに従えば、短絡的に「塩は有害」という結論となります。多種多様な食品を食べることが、偏った食生活に陥るリスクを最小限にするとともに、必要な栄養素をバランスよく摂るコツと言えます。健康に万能な食品などありませんし、逆に有害で恐ろしい食品もありません。

  また、食と健康に関わる溢れるばかりの情報は玉石混交で、十分に注意する必要があります。極端な条件での動物実験による研究結果で人の食生活の善悪を論じたり、食生活の全く異なる海外の研究をそのまま日本人に当てはめようとしたりする事例が後を断ちません。