これまで植物油の使用について主婦の皆様が抱いている意向を平均的に見てきました。これを年齢階層別に比較するとどうなるでしょうか。年齢だけをもってその階層を性格づけることはいささか乱暴ですし、食体験の相異もありますが、それぞれの年齢階層に何となく共通する特徴が見られます。
(1)20代も気にするコレステロールと肥満
20歳代の皆様が現在使用している油については、この2年間に大きい変化は見られませんでしたが、2009年には17%近い人たちがコレステロールを気にされていました。しかし2年後の今回は大幅に減少しました。ただ今後使用したい油について、40%を超える人たちがコレステロールと肥満を気にしておられ、特に肥満を気にしておられることは驚きです。そんな心配がこの年齢層に生じているのでしょうか。イメージだけの先行であることを願っています。
(2)植物油の使用が減少の30代?
この2年間で、現在使用している油の割合が、一部を除きほとんどの油で低下していました。特にオリーブ油の使用がグンと減りました。また今後使用したい油ではサラダ油とする割合が倍増し、なたね油も増加しています。子育てが佳境に入り、養育費用がかかる年齢層であることから、価格に対する反応が敏感になっているためでしょうか。その反面、コレステロールを気にする方が増えているようですが、コレステロールの低下に寄与する油を今後使用したいという方の割合は低下しています。非常に揺れ動く年齢層のように見受けられます。
(3)コレステロールが気になり始める40代?
現在使用している油が大きく変化した年齢層です。ごま油、オリーブ油が大幅に減少し、サラダ油の使用が増えました。そしてコレステロールが気になる方向けの油の使用が少し増加しています。今後使用したい油についての意向からは、コレステロールと肥満が気にされている傾向がはっきりと現れました。子供が上級の学校に進み、家計と健康が気になる年齢層なのかもしれません。
(4)いろいろな油に挑戦の50代
50代では、2009年に比べ、トップ4の油を使用している割合が一気に高くなり、またこれらの油をこれからも使用したいという意向が示されました。子育てもそろそろ終わり、ゆっくりとお料理を楽しんでみたいということなのでしょうか。反面、コレステロールや肥満が気になる年齢であり、今後それらのための油を使用したいという意向も強いように見受けられます。
(5)ゆとりの60代以上
60代の皆様は、もっとも多彩な油の利用をされ、今後においても様々な油を楽しみたいという意向を有しておられるように見えます。特にオリーブ油を使用される割合がこの2年間に大きく少々しており、今後の意向も同様でした。ゆとりを感じさせると申し上げた方がよいかもしれません。無論若かった時代にはオリーブ油は普遍的な油ではなかったため、この年齢層になって利用が広がりはじめたという見方もあるかもしれませんが、多様な油に積極的に挑戦される姿が浮かんできます。
【 図5 現在使用率と使用希望率の年代比較 】
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