植物蛋白が様々な食品に広く利用されているのは、物理的な加工法の相違によって多様な形状・性質を有する製品を作ることができることによるものです。このことを大豆蛋白を事例として紹介しましょう。
大豆蛋白の原料となる脱脂大豆は、糖類、灰分、細胞壁などの繊維(オカラ)と蛋白質で構成されています。このうち主に糖類と灰分を除去したものを「濃縮大豆蛋白」、蛋白質だけを分離したものを「分離大豆蛋白」と称しています。分離大豆蛋白は、90%前後の蛋白質分を含む純度の高い製品です。
こうして得られた大豆蛋白は、更に①粒状大豆蛋白と②繊維状大豆蛋白へと加工され、それぞれの特徴を生かした利用が行われます。
無論、分離した糖類や繊維質も大切な資源です。これを加工して、食品の物性や機能を向上させる食品機能材としての特徴を持った製品が開発されています。例えばオカラから抽出し、加工した水溶性大豆多糖類は、麺の表面に噴霧することにより麺の保水性が高まり、薄い膜を形成することによって雑物の付着を抑制し、歯切れの良い弾力的な食感をもたらします。
実際の製造法は非常に複雑になりますので説明を省略しますが、植物蛋白の製造工程を図示すると次のようになります。
【 図1 植物性蛋白の製造工程 】
資料:社団法人日本植物蛋白食品協会提供
|