そうめんは湯がいて水洗いし、薬味を添えた醤油味の出汁で喉ごしを愉しむように食べるのが一般的ですが、室町時代には、「冷やしそうめん」と「蒸して食べる」方法があったようです。
蒸して食べる方法は熱蒸(あつむし)、蒸麦(むしむぎ)などと呼ばれ、温麺(おんめん)としての食べ方でした。冷やしそうめんは現在のそうめんに似た食べ方ですが、この場合にはめん板を切って作る“切りめん”が供され、手延べそうめんは熱蒸で食べたという記述があります。どちらの場合も出汁にはみそ味の汁などが用いられたようです。
時代が下って江戸時代には、夏は冷やしそうめん、冬は温麺といった食べ方が登場してきます。現在ではそうめんは典型的な夏の食べ物というイメージが定着していますが、もともとは季節の変化に応じた食べ分けがなされていたことが窺えます。
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