カナダ菜種協会が野心的な菜種生産拡大計画を策定
5.  東アジア地域の製油産業の協調的発展

 中国において製油資本の投資が急速に拡大したため、東アジア地域は短期間で世界の一大植物油市場となりました。しかし、その背後で、中国の製油産業が早くも構造再編という課題を抱えていることが明らかになりました。

 シンポジウムに参加した台湾は、約20年前から業界構造の再編に着手し、2大企業を核にする体制ができあがりました(植物油Information第52号参照)。

 台湾は、中国と同じ時期にWTOに加盟し、関税の引き下げなど貿易の自由化を進めましたが、この結果、畜肉の輸入が増加し、台湾における畜産業が減退する傾向にあります。

 台湾の製油産業は、大豆ミールの需要に合わせた大豆の圧搾を行っていますが、畜産業の減退に伴って大豆ミールの需要が今後も減少することが見込まれています。このため、製油企業は適正な操業に支障を来すようになっており、第2段階の業界構造の再編を考慮しなければならない状態を迎えています。

 私ども、日本植物油協会においては、2004年に企業合併が行われ、その成果を挙げつつありますが、人口の減少や高齢社会の到来による市場の変化という長期課題に直面しています。

 環境や要因は異なるものの、3カ国・地域は似通った課題を抱えています。また、原料輸入に依存するという共通の体質を有しているため、最近の油糧種子・植物油の国際価格の高騰に翻弄されるという問題に直面しています。

 このため、これからも、3カ国・地域が、東アジアの植物油市場において、適正な競争を展開しながら、原料輸入国として共通する課題、輸出国に対する要求、世界の貿易制度に対する意見等を協調して発信していきたいと考えています。

PREVMENUNEXT