日加なたね協議で示された2006/07年度(2006年9月~2007年8月)のカナダ産菜種の需給展望は表1のとおりでした。なお、生産量については、協議では代表団の予測値が示されましたが、その後カナダ統計局が公表した910万トン(昨年に次ぐ史上2位の生産量)に置き換えています。
【 表1 2006/07年におけるカナダの菜種需給予測 】
この表が示すとおり、2006/07年の期首在庫は豊富で、生産量も910万トンを超す豊作でした。にもかかわらず、カナダの菜種価格が上昇の一途をたどっているのは、需要が堅調であるという予測が背景にあります。需要のうちカナダ国内で圧搾する数量が段階的に増加していますが、これはアメリカにおける強い菜種油需要とバイオディーゼル用需要が見込まれることから、カナダ国内の製油企業が設備能力を拡大していることを反映しています。また、2005/06年から急速に増加している輸出量は、アメリカ、中国における食用需要の増加と、EUのバイオディーゼル向け需要を反映したものです(植物油Information第49号を参照してください。)。
EUに関しては、未承認遺伝子組換品種の承認を巡る協議が行われていましたが、2006年中には決着に至らなかったため、引き続き、トルコ、アラブ首長国連合などを経由した迂回輸出の方策がとられることになります。
この結果、期末在庫数量は大幅に低下すると見込まれています。ただし、これらは控えめの見込みであり、オーストラリアの減産(約467千トン、前年の1,439千トンより68%減)もあり、更に需給が逼迫する局面が生じるかもしれません。これとともに、まもなく始まる今年の菜種の播種がどのようになるかが気がかりです。菜種の生産地は、小麦や大麦にとっても生産の適地です。世界の小麦・大麦は生産が需要を下回ることから需給は一層逼迫しており、価格も急上昇を続けています。この価格が菜種より魅力的である場合には、菜種の生産が減少することも懸念されます。このような、先の憶測も含んで国際市場が動いています。
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