日本植物油協会は、農林水産省、油糧輸出入協議会(油糧の貿易を取扱う商社で構成する団体)とともに、カナダ菜種関係者(カナダ農業・農産食料省、カナダ菜種協会)との間に、菜種の円滑な輸入を確保するために定期的な日加なたね協議を開催しています。この協議は1976年に両国政府間の協議として開始され、2006年の協議は第30回の記念するべき協議でした。しかし、その記念するべき協議で、2006年のカナダ産菜種は昨年に次ぐ豊作が期待できるとの報告がありましたが、同時に、菜種と菜種油に対する強い需要と、もう一つの供給国であるオーストラリアが干ばつのため大減産となったことから、今年度末の在庫が大幅に低下し、需給が逼迫に転じることが示されました。
一方、昨年12月12日、アメリカ農務省(USDA)は、2006/07年の小麦・粗粒穀物の生産量が、同期間の需要量を下回るという予測を公表しましたが、油糧種子については、アメリカ産大豆の生産が8,500万トンに達する大豊作である見込みとともに、播種期にある南米においても前年をやや上回る生産が期待できるとの予測を公表しました。USDAは、同時に、大豆、菜種等を含めた世界の油糧種子生産が前年度より増加すること、パーム油の生産も良好であるだろうとの予測を示しています。
しかし、その一方で、強い需要が牽引して大豆と大豆油の価格は更に上昇するという一見矛盾した見解を示しています。
豊作にもかかわらず、需給が逼迫し、価格が上昇するというパラドックスが、油糧種子の国際市場で生じています。
|