世界で高まる植物油の需要
我が国の植物油市場の大きさ

 可食油だけでなく、全ての植物油の供給量を示したものが図1で、2005年の植物油供給量は261万トンでした。2005年は、出生率の低下から日本の人口が減少に転じました。また、高齢化が進むという状況にありましたが、植物油の総供給量は前年よりわずかに増加しました。この数年の動きを見ても、植物油の供給量は横ばいで推移していますので、植物油の消費が飽和状態に近づいていることが分かります。

 植物油の総供給量は横ばいですが、油種別の内訳を見ると、この2年間に次のような大きい変化が生じています。

(1)大豆油の供給量が2年連続して大幅に減少した
(2)菜種油の供給量が増加し、2005年では100万トン近いものとなった
(3)パーム油など熱帯油脂の供給量が60万トンに近づいている
(4)植物油の輸入が着実に増加した


【 図1 2005年の植物油供給量(単位:千トン) 】
図1 2005年の植物油供給量(単位:千トン

 大豆油が急速に減少した背景には、2003年から2004年にかけて干ばつによるアメリカ産大豆の大幅減産によって大豆の国際価格が高騰し、製油企業の収益性が著しく低下したため、大豆の圧搾を大幅に減少することを余儀なくされたという事情があります。その後、生産の回復によって2004年夏頃から大豆の国際価格は徐々に低下しましたが、高騰以前の水準に比較すればなお高い水準にとどまっているため、圧搾数量が引き続き減少する傾向が続き、この2年間で約100万トンの減少を記録しました。

 これを補うため、製油企業は菜種油の生産を拡大し、国内の製造能力の限界に近い数量を処理し、菜種油の増産が図られましたが国内の需要を十分に満たすことができないため、植物油の輸入が増加しました。2005年の輸入量は89万トンで、植物油総供給量261万トンの約34%を占めるに至りました。

 我が国の植物油供給は、1990年頃から、若干の変動はありますが、国内産と輸入とを合わせた供給量をみると、菜種油が90万トン前後、大豆油が70万トン前後で推移してきました。その後、BSEの発生により動物性蛋白質飼料の代替として大豆ミールの需要が高まったことを背景に大豆の圧搾数量が一時的に増加しましたが、この2年間の変化によって、菜種油の供給量が約100万トンとなる一方、大豆油の供給量は60万トンを少し上回るところまで減少することになりました。

 一方、パーム油を中心とする熱帯油脂(パーム油、パーム核油及びやし油)は、価格が相対的に安いことから着実に輸入が増加し、2005年には60万トンに近づきました。

 このように、我が国の植物油供給構造は、わずか2年間に大きく変化しました。
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