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n-3系脂肪酸には、植物油由来の(-リノレン酸、魚由来のEPA, DHA, DPAなどが含まれます。日本人の平均的な摂取量をみると、n-3系脂肪酸のうち、(-リノレン酸が60%、魚由来のEPA, DHA, DPAが40%摂取されています。(-リノレン酸は、しそ油、大豆油、菜種油に多く含まれ、虚血性心疾患を予防する大切な脂肪酸です。
n-3系脂肪酸摂取の下限
n-3系脂肪酸も必須脂肪酸であるため、目安量の設定が必要となります。N-6系脂肪酸と同様に、日本人の平均的なn-3系脂肪酸摂取量の中央値を目安量としています。
n-3系脂肪酸摂取量が増加すると、虚血性心疾患の罹患率が少なくなることが予想されますが、平均的な日本人のn-3系脂肪酸摂取量は、欧米人で虚血性心疾患の罹患率が最も少くなるn-3系脂肪酸の最大摂取量より多く、このため、18歳以上男女のn-3系脂肪酸摂取量の中央値を目標量の下限値としています。この目標量(下限)は、目安量と同じ値になることから、18歳以上のn-3系脂肪酸食事摂取基準は、目安量として活用しないで、目標量(下限)として用いることとしています。
n-3系脂肪酸摂取の上限
この設定に当たって、出血時間、LDL-コレステロール、血糖値、免疫能、過酸化脂質、PAI-1値のそれぞれに対するn-3系脂肪酸の影響について検討を行ったところ、出血時間の延長と血中LDL-コレステロール値増加の危険があることが推定されました。しかし、人における疾病罹患に関する根拠(エビデンス)は十分ではないことから、目標量(上限)は設定されていません。
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