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飽和脂肪酸は摂取量が少ないと脳出血が増加し、多いと心筋梗塞が増加することとなり、適正な摂取(至適摂取)範囲が最も狭い脂肪酸です。
飽和脂肪酸摂取の下限
日本人中年男女を対象にした観察研究では、飽和脂肪酸の摂取量が少ないと、血圧、肥満度、コレステロール値、喫煙、アルコール摂取量などの要素を考慮しても、脳出血の発症頻度が高まることが認められています。また、ハワイ在住の日系中年男性を対象とした観察研究でも、飽和脂肪酸の摂取量が10g/日以下になると脳卒中による死亡率が約2倍に高まることが認められています。これら2つの研究結果から、18歳以上で、脂質エネルギー比率4.5%を下限値としています。
飽和脂肪酸摂取の上限
飽和脂肪酸摂取量の増加は、血中のLDL-コレステロールを増加させ、心筋梗塞による死亡率を増加させます。米国では、飽和脂肪酸摂取による脂質エネルギー比率を10%以下(National Cholesterol Education Program step 1)または7%以下(National Cholesterol Education Program step 2) に設定した多くの研究で、LDL-コレステロール値が低下し、体重が減少するという効果が認められています。これらの研究結果を参考として、日本人の食生活の現状や伝統的な日本型食生活を考慮し、上記のStep 2に用いられた7%を目標量(上限)としています。
なお、17歳以下の成長期の人には摂取基準(目標量)は設定されていませんが、表の脚注に、「10歳以上で、血中LDL-コレステロール値が高い場合、動脈硬化が進行する可能性があるので、飽和脂肪酸摂取量の制限を含めた対策が望まれる。」の一文を設けて、注意を喚起しています。
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