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栄養素の摂取範囲[上限または下限のどちらか一方のこともあります]は、以下の5つの指標に整理されています。
- 推定平均必要量(EAR; estimated average requirement)
- 推奨量 (RDA; recommended dietary allowance)
- 目安量(AI; adequate intake)
- 目標量 (DG; tentatively dietary goal for preventing life-style related diseases)
- 上限量 (UL; tolerable upper intake level)
これらの5つの指標をまとめて、食事摂取基準 (DRIs)と呼んでいます。
また、エネルギー摂取量に関しては、特別に推定エネルギー必要量 (EER, estimated energy requirement) が定義され、摂取不足や肥満に陥ることがないエネルギー摂取量が、年齢別、性別、運動量別に示されています。
上記の5つの指標は、一つの栄養素について2つ以上の指標で表されることがある一方、どの指標も用いられない栄養素もあります。それぞれの指標の策定方法によって、栄養素の摂取範囲の意味が異なりますから、それぞれの用語の意味を理解することが非常に大切になっているのです。
例えば、n-6, n-3系脂肪酸は必須脂肪酸と呼ばれ、一定量以下の摂取しか行われない場合には皮膚炎、子供の成長障害などが認められます[これら以外の飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、コレステロールは、肝臓で他の炭水化物から合成できるので、必須ではありません]。したがって、必須脂肪酸は摂取量の下限の設定(摂らなければならない量)が必要になりますが、タンパク質で用いられる出納実験ができないため、推定平均必要量や推奨量という指標を用いることができません。このため、摂取量の中央値で表される目安量が用いられています。すなわち、大部分の日本人では皮膚炎の発症が認められていないという事実を踏まえて、日本人の各年代別、男女別の必須脂肪酸摂取量の中央値が、日本人の大多数で欠乏症状を生じることのない十分な量と考え、目安量という指標で示されています。 |
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