遺伝子組換えカノーラの導入認可はしたけれど

  オーストラリアで商業的に栽培されている遺伝子組換え(GM)農産物は、現時点では綿花とカーネーションだけですが、GMカノーラの商業栽培の是非をめぐって各地で様々な議論が巻き起こっています。
  連邦政府の遺伝子技術規制局(GTR)は、本年7月に、GMカノーラの1品種について商業栽培を認可することを決定しました。この決定を巡り、各州政府、カノーラ生産者、流通業者の間には様々な困惑が生じています。連邦政府の認可があったとしても、実際にGM農産物が商業栽培できるか否かは州政府の判断に委ねられています。カノーラの主要産地であるニューサウスウェールズ州、西オーストラリア州、南オーストラリア州、ビクトリア州では、GMカノーラの商業栽培について1~3年間の暫定禁止を表明しているため、遺伝子技術規制局が認可したとしても当面、GMカノーラの商業栽培は不可能な状態にあります。他方、生産者や生産者団体は、国際競争力向上の視点から当初はGMカノーラの導入に積極的でしたが、国内外のGM食品に対する消費者の拒絶反応から、しばらく様子をみてみようとのスタンスを取っています。
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