食品表示に飽和脂肪酸の量を表示義務化

 食品の表示や添加物等に対する規制は、食品基準コード(Food Standard Code)に規定されています。2000年12月に現行の食品基準コードが公布され、2年間の移行期間を経て2002年12月から施行されています。この食品基準コードは、消費者が食品を購入する際の選択に資するため、食品表示規制を拡大・強化することを大きい柱とし、具体的には、栄養成分、主要原料の含有率、アレルギーを引き起こす可能性のある食品の情報の3点についての表示を義務付けています。このうち栄養成分については、(1)総脂肪、(2)たんぱく質、(3)エネルギー、(4)炭水化物、(5)ナトリウムの他に、⑥飽和脂肪酸と⑦砂糖のそれぞれの1回平均摂取量及び100gあたりの含有量の表示が義務付けられることとなりました。食品業界からはコストの増加を理由に反対がありましたが、それを押し切り消費者の意向を強く反映する形となりました。以前には、「低脂肪」などのあいまいな表示が多かったのですが、食品基準コードが施行された後は、商品ごとに脂肪や飽和脂肪の量を比較することが可能となりました。
表7 栄養成分の表示例
(ファンタスティック社のバーベキュー味せんべい)


NUTRITION INFORMATION
Serving per pack:4g
Serving size: 25g
  per Serve
per 100g
Energy
Protein
Fat, total
- saturated
Carbohydrate
Sugars
Sodium
420kJ
1.8g
0.9g
0.2g
21.0g
0.7g
91mg
1678kJ
7.0g
3.5g
0.7g
84.1g
2.9g
363mg
 油糧種子の生産者団体は、このような飽和脂肪酸の表示義務の実施によって、食品事業者がパーム油や牛脂の利用から、飽和脂肪酸の少ない国産の植物油利用に切り替える動きが進むことを期待しています。
一方、消費者の、油脂の摂取と健康との関係についての理解が十分ではないことから、今後、消費者教育が徹底されることを期待しています。

 2001年12月7日からGM食品の表示が義務付けされましたが、日本の表示制度と同様に、食用油は加工過程でDNA・たんぱく質が除去されるため、表示義務が免除されています。オーストラリアではGM綿花が栽培されていることもあり、これを利用した綿実油が生産される可能性がありますが、消費者のGM食品に対する拒絶反応が強いため、ほとんどのオーストラリアの食品企業は、表示義務の無い食用油も含めてGM原料を使用しない方針のようです。
PREVMENUNEXT