「印刷インキ」とは、どのようにして作られるのでしょうか。その原理自体はグーテンベルク以来変わっていないと言ってもよいでしょう。
印刷インキは、次の原材料から作られます。
- ① 色材(顔料)
- ② ビヒクル(展色剤。ワニス)
- ③ その他の補助剤
色材は、水濡れなどによって色落ちしないことが条件になります、このため、染料ではなく、金属などから作られる水や油に溶けない顔料が用いられます。
ビヒクル(vehicle)は、顔料に粘性を与えて自在に展がり、被印刷体に定着させ(転移)、固定化するはたらきをするもので、印刷インキの最も重要な要素と言うべき成分です。このビヒクルの主要な素材となるのが植物油です。多価不飽和脂肪酸(リノレン酸など)を多く含むアマニ油、桐油、エゴマ油などは乾性油と称され、空気中に晒されると酸化・重合によって透明な膜状物質に変性して不溶性の強靭な膜を形成し、乾燥したような状態となります。ビヒクルは、乾性油のこの特質を利用し、樹脂や有機溶剤と混合して製造される物質です。乾性油を使用しない場合もありますが、現在、一般的な平版印刷(オフセット印刷)用の印刷インキのほとんどに植物油が使用されています。ちなみに、vehicleは車両や伝達手段を意味しますが、色材を乗せて、被印刷体に運ぶという役割を表す言葉として用いられています。
その他の補助剤は、インキの流動性を高める、インキの色調や濃度などを調製する、インキの光沢を調整する、インキの乾燥を調整するなどのはたらきをする成分です。
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