大干ばつによるアメリカ産大豆不作の情報を受け、シカゴ商品取引所におけるとうもろ
こし大豆の先物価格が高騰しています。穀物・油糧種子の国際価格は、投機資金の流入もあり2008年7月に過去の記録を塗り替える高値を記録し、その後、一時的な急落の期間を経て、2009年中ごろから徐々に上昇する気配を見せていました。特に大豆については継続的に上昇を続けていましたが、2012年7月に、2008年の記録をさらに上回る史上最高値を記録しました。その後、行き過ぎた価格上昇の反動で修正過程に入ったのち高い水準を維持しています。図1、2は、2008年と2012年の大豆と菜種の先物価格の動きを比較したものです。
大豆、菜種の価格は相互に関連して動くことが普通です。2008年の動きをみると、双方がともに上昇し、7月半ばに同調して低下に転じています。しかし本年の動きには若干の相違が見られます。
【 図1 シカゴ市場における大豆先物価格の推移 】
注:シカゴ商品取引所における大豆先物価格(期近もの)の毎日のセツルメント価格である。
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【 図2 ウィニペッグ市場における菜種先物価格の推移 】
注:ウィニペッグ商品取引所における菜種先物価格(期近もの)の毎日のセツルメント価格である。
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6月半ばから大豆の価格が上昇に転じ、やや遅れて菜種の価格が追随しています。そして大豆が7月20日に最高値を記録してからやや低下した後、なお上昇機運を狙う状態にあるのに対し、菜種は価格上昇の反動が大きく再上昇の機運は見られるものの、落ち着いた状況にあることが見受けられます。豊作の中で、行き過ぎの是正と需給のタイト感とが牽制しあう価格形成となっているようです。私ども製油産業にとって、できればこれ以上の価格上昇がないことを望んでいますが、今後アメリカ大豆の生産状況が判明してくるにつれ、大豆価格が先行して上昇し、菜種がこれに追随することが懸念されます。また価格高騰の中で、中国がこれまでと同様に大量の大豆や菜種の輸入を継続することとなれば、供給不測の事態さえ生じかねません。本年秋からの南米における大豆の作付情勢が明らかになるまで、このような不安を継続することが予想されます。
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