日本人の一人1日当たり蛋白質の摂取量は、昭和50年以降約70~80gで推移してきましたが、食品群別に蛋白質の摂取量をみると穀類からの摂取が減少し、肉類や牛乳・乳製品など動物性蛋白質からの摂取量が増加しています。望ましい蛋白質の摂取比率は、動物性、植物性が1:1の比率であるとされていますので、このバランスが崩れているのが気がかりなところです。厚生労働省「健康日本21」では、緑黄色野菜摂取量増等とともに植物性蛋白質として食べられる大豆類の摂取量を、現在の1日当たり76gから100gに増やそうという目標を掲げています。
また、健康増進効果として米国食品医薬品局(FDA)は大豆蛋白質に血中コレステロール量や中性脂肪量を低減させる機能があるという研究報告に基づき、1日当たり25gの分離大豆蛋白質を摂取すると心臓疾患が予防できるという食品表示を1999年10月に認めました。
大豆蛋白を構成する主要な蛋白質は3種類で、グリシニン(約40%)、βーコングリシニン(約20%)及び脂質を統合している蛋白質(LP、※約40%)であることが確認されています。これまで大豆蛋白質のコレステロール低下効果はグリシニンによるものとされていましたが、最近の研究ではLPによるものであることが分かってきました。またβーコングリシニンも血中中性脂肪と内臓脂肪の量を低減させる作用があることが分かりました。βーコングリシニンは乾燥大豆100gに約5g含まれていますが、これに着目して京都大学食品生科学研究室がβーコングリシニンを含む干菓子を特定保健用食品として申請し、その効果が確認されたことから、2007年6月、同食品として認可され、「中性脂肪が気になる方へ」という表示が認められることとなりました。
現在メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防が健康づくりの基本となりましたが、以上に述べたような効果を有する植物蛋白食品がこれに貢献することが期待されています。
植物蛋白が有する生理機能について、現在までに次の事項が実験等で証明されています。
(1)大豆蛋白の生理機能
〇コレステロール調節作用
〇抗動脈硬化作用
〇肥満改善効果
〇制ガン・抗腫瘍作用
〇血圧降下作用
〇中性脂肪低下作用
(2)小麦蛋白の生理機能
〇血漿コレステロール低下作用
〇胃、腸機能の調節作用
〇食後血糖上昇抑制作用
〇血圧降下作用
今後はこれらの機能を十分に生かしうるような製品の開発が重要となっています。植物蛋白食品は、いまも夢の食品の可能性を秘めた食材と言えるのではないでしょうか。私ども製油業界においても、大豆蛋白食品が高い評価を受けることは、大豆を活用する範囲が広がることを意味しています。これからも小麦蛋白を製造する産業とともに、植物蛋白の多面的な利用が進むよう努力をして参ります。
=社団法人日本植物蛋白食品協会からのお知らせ=
今回の記事の作成には、社団法人日本植物蛋白食品協会のご協力をいただきました。 同協会では、多くの皆様に植物蛋白に対するご理解をいただくため、植物蛋白に関するパンフレット、植物蛋白を使ったレシピ集、大豆蛋白及び小麦蛋白の試供品を皆様に無料で配布されています。
ご関心のある方は、下記の社団法人日本植物蛋白食品協会へお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。 |
お尋ね先: |
社団法人 日本植物蛋白食品協会
〒105-0003 東京都港区西新橋2-4-1 森山ビル4階
電話番号:03-3591-2524 FAX:03-3591-3011
e-mail: info@protein.or.jp
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植物蛋白についてのパンフレット |
植物蛋白についてのレシピ集 |
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