― 大豆油が引き続き減少、菜種油は史上最大の生産量を記録 ―
2010年(平成22年)の、我が国で生産された植物油は165万9千トン(粗油ベース)で、前年より3.6%、5万6千トンの増加となりました。一見順調に増加したように見えますが、前年の生産量が異常に落ち込んでいたことの反動に過ぎず、2年前(2008年)と比較しますと5万トン弱の減少となりました。
植物油の国内生産量(国内で原料を圧搾して得られた数量)は2000年の188万5千トンをピークとして、その後傾向的に減少を続けています。そのなかで、特に減少の著しいのは大豆油です。大豆油の生産量は、1990年代には69万トン前後で安定的に推移してきました。2001年、我が国初の狂牛病(BSE)の発生が確認され、動物の肉骨粉を家畜飼料に利用することが制限されたことに伴って、代替する蛋白資料として大豆ミールの需要が急増することとなりました。このため、大豆の圧搾数量が急増し、2003年には大豆油の生産量が76万トンに達しましたが、大豆油の需要が必ずしも併行して増加しなかったことから、2004年以降大豆の圧搾数量は、2001年以前の水準以下に減少することとなり、今日までその傾向が続いています。大豆油の生産が何故減少を続けているのかについては、次に概略を説明いたしましょう。
大豆油生産の減少に対し、菜種油の生産はこのところ95万トン前後で推移し、2009年にはやや低下しましたが、2010年には史上最大の生産量となりました。大豆油生産の減少分を菜種油で補うという構図になっています。
それ以外の油も、ごま油を除き生産量が少しずつ減少しました。こめ油は、米の生産調整により原料となる米糠の発生量が減少していることから、強い需要があるにもかかわらず生産ができないという悩みを抱えています。農政の新展開により米の生産が拡大し、消費者の皆様にこめ油を十分にお届けできることを願っています。
【 図1 油種別に見た植物油生産量の推移 】
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