めん(麺)といえば、関東地方以東ではまず「そば(蕎麦)」の名が挙げられますね。しかし日本のめんの歴史をたどると、「そば」がめんとして作られるようになったのは15世紀から、一般的に食べられるようになったのは、江戸が文化の中心として栄えてからのことです。日本のめん類はそれまで小麦粉を原料とした「そうめん」「うどん」などが主流でした。
【 図1 夏の風物詩“そうめん流し” 】
―お世話する大人たちも楽しそう―
提供:全国乾麺協同組合連合会
歴史の上で「めん」らしきものが登場したのは、そうめんの源流と考えられている索餅(さくへい)が中国から渡来したころです。遣唐使が活躍し、中国の文化を積極的に取り入れた奈良時代(710~784年)に、後に伝統食品として定着する「しょうゆ」「納豆」などとともに索餅が日本に持ち込まれました。中国では後漢や唐の時代の書物にこの索餅の名称を見ることができます。
索餅とは小麦粉と米の粉を練り、それを縄のような形にねじった食品であったと考えられています。語源の上でも、索餅が索麺(さくめん)、素麺(そうめん)と変化したとするのが定説となり、索餅が「そうめん」の原型と言われています。この索餅が我が国のめん文化の歴史の嚆矢となり、今日の「手延べそうめん」の祖先となりました。
図2は、日本の麺文化の流れを大まかに示しています。索麺が時代を経て素麺に変化していったことがおわかりいただけるでしょう。
【 図2 めん類の系統年表 】
提供:全国乾麺協同組合連合会
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