「ひまし油」と聞くと皆さんは何を連想されますか?
50代以上の方でしたら、「下剤」とか「ポマード」を連想されるかもしれません。しかし、ほとんどの方は何も思い浮かばないほど一般には知られていないのではないでしょうか。では、先ず、ひまし油の蘊蓄からはじめましょう。
インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」で『ひまし油』を検索すると、【ひまし油(ひましゆ、蓖麻子油、英語Castor oil)は、トウダイグサ科のトウゴマの種子から採取する植物油の一種】という科学的な情報の他に、【アニメ「ポパイ」の恋人オリーブ・オイルの兄はキャスター・オイル(Castor Oyl)という名であるが、ひまし油の英語名をもじっている。】といった情報が出ています。また、ひまし油湿布やマッサージによってリンパ循環を促進したり、抗菌作用、瀉下作用(下痢を起こす働き)、毒素排泄(デトックス)作用等の医学的効果があるとするサイトも見られます。
「ポパイ」の件は別にして、ひまし油というと医薬品や下剤としてのイメージが強いのかも知れません。
では、一般の方にあまり馴染みがないと思われる「ひまし油」のことを、もう少し科学的に詳しくお話しすることにしましょう。
ヒマの種子を搾って得られる油のことをひまし油と言います。
ヒマ(トウゴマ、学名Ricinus communis L.)はアフリカ原産で、熱帯及び亜熱帯地方では多年生、温帯地方では1年生のトウダイグサ科に属する植物で、茎は太い円柱状で直立し高さ2メートル位になります。亜種としては、ペルシャ種、中国種、アフリカ種、メキシコ種などがあり、その種子が「ヒマシ」と呼ばれ、ひまし油の原料となります。
【 図1 ヒマシとヒマ畑 】
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ヒマシ |
核(内胚乳)と皮 |
葉の双葉 |
ヒマ畑 |
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ヒマ畑 |
ヒマの花 |
ヒマの果実 |
つみ取り |
写真:伊藤製油(株)提供 |
果実は3片で3室となり各室に1種子を持ちます。種子は楕円形で光沢があり、黒褐色の斑点があります。ヒマシ種子は繊維質が多い殻皮と、油とタンパク質を含む核または内胚乳(ないはいにゅう)と呼ばれる部分とに容易に分けることができます。品種により色、模様、大きさなど外観は異なりますが、構成成分には大きな差異は認められません。乾燥重量では約1/2が油分、約1/4が殻皮、約1/4がタンパク質および炭水化物です。
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