1. アメリカからの便り
- 健康志向は人一倍、だが、笛を吹いても踊らぬことも?-
アメリカ人は油脂の摂り過ぎ
アメリカ人の64%は、太り過ぎ又は肥満とされています。米国農務省経済研究局(ERS)によれば、肥満に関連する病気などに起因する医療関係のコストと生産性における損失は、年間800億ドルにものぼるとされています。
肥満の原因には、運動不足、糖分の摂り過ぎなどいくつかが指摘されています。その大きなものの一つとして、カロリーの摂り過ぎと脂肪分の摂り過ぎが挙げられています。
このため、米国農務省(USDA)と厚生省は、食生活ガイドラインを定め、健康な食生活の普及に努めていますが、このガイドラインは現実の食生活と大きくかけ離れています。
食生活ガイドラインでは、脂肪は摂取カロリーの30%以内、飽和脂肪は10%以内、コレステロールは1日300ミリグラム以内としています。ガイドラインでは、例えば、1日当たりの摂取カロリーが2,200カロリーとなるような食生活を送るとすると、脂肪摂取量の上限は73グラムになるとしています。しかし、ERSは、現実の食生活では調理の際に加えられる油脂だけで、既にその89%に当たる65.3グラムを摂取しているとしています。しかも、この数量は増加する傾向にあり、1970~1974年の平均47.9グラムからみると36%も増加しています。
これらに、肉、牛乳など食品自体に含まれる脂肪分を加えれば、平均的なアメリカ人の脂肪摂取量は1日当たりの許容量を大幅に超過していると見込まれます。
このような油脂の摂取量の急激な増加には、外食の増加が寄与しているとされています。食料支出に占める外食費の割合は、1970年に26%でしたが、1996年には39%に増加し、それに伴って、カロリーの摂取量に占める外食の摂取量割合も、1977年から1978年の平均18%から、1995年には34%に増加しています。