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食欲の秋です。何を食べてもおいしい季節ですが、植物油を上手に使えば、おいしさばかりかヘルシー度も一段とアップ。グルメならずとも、見逃す手はありませんね。
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■植物油の調理上のメリット
では、植物油の調理上のメリットについて詳しくご説明しましょう。
おいしさという視点から見ると、最大のメリットは素材のおいしさを広げるということです。
まず、素材に植物油そのものの風味が加わります。ごま油やオリーブ油などの豊かな風味は、それだけで素材のおいしさを広げてくれます。また、油を使って加熱すると独特の香ばしい風味がプラスされて、ぐっと食欲がわきます。
第2には、料理の味をまろやかにすること。油を使うと塩味や酸味などを舌が直接感じにくくなり、味をソフトにします。
第3には、素材のおいしさを封じ込めること。たとえば香辛料の成分などは油に溶けやすく、また溶け出たおいしさは油の中に閉じ込められます。オリーブ油にハーブをつけ込んだり、中華の炒めもののとき、にんにくや唐辛子を先に炒めるのもこの性質をうまく利用しているわけです。
第4のメリットは、食感を変化させること。フライや天ぷらのカリッとした食感も植物油を使った料理の魅力の1つです。
こうしたおいしさのメリットに加え、健康上のメリットもたくさんあります。植物油そのものの栄養(必須脂肪酸、ビタミンE等)の摂取をはじめ、不飽和脂肪酸のコレステロールを低下させ、正常な生理機能を維持する働き、さらに、素材の持つカロチンやビタミンDなどの吸収を助けることなどがあげられます。また、腹持ちがいいのでダイエットに効果的など、日頃何気なく使っている植物油には、こんなにメリットがあるのです。
■調理ごとのちょっとしたコツを覚えて、あなたも植物油料理名人に!
植物油を使う料理は、ちょっとしたことで、おいしさもヘルシー度も一層高まります。代表的な調理法「揚げる」「炒める」「和える」について、調理上のコツをご紹介します。
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調理法 |
調理上のコツ |
揚げる |
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油の温度は170~180℃
揚げ油に衣をポタッと落としてみて、ゆっくり上がってくるようなら170℃、すっと上がってくるようなら180℃。 |
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揚げ鍋の面積の半分以上ネタを入れない
一度にたくさんの材料を入れると油の温度が下がってしまうので、鍋の面 積の2分の1までを目安に入れる。 |
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揚げる前の衣は冷たく(天ぷらの場合)
揚げる前の衣は冷たい方がカラッと揚がるので、粉を冷やしたり、冷水を使うと効果 的。 |
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炒める |
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油の量は材料の5%(中華は8~10%)
油が少ないと全体に熱がまわらず、水っぽい仕上がりに。キャベツ4枚(200g)に大さじ1杯弱(10g)の油を。 |
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フライパンはよく熱してから
低温で炒めるとベタッとした仕上がりに。フライパンをよく熱してから油を入れ、油が熱くなってから材料を入れる。 |
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調理は短時間で
短時間で仕上げた方が材料がシャキッと仕上がり、ビタミンなどの栄養も壊さない。 |
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和える |
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和えるのは食べる直前に
和えてから時間が経つと、材料から水分がでて水っぽい仕上がりになるので、和えるのは食卓に出す直前に。 |
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サラダは先に油をまぶすのが理想的
まず野菜に油をまぶした方が他の調味料がからみやすい また 野菜の水気も出にくく ビタミン類も逃がしにくい |
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■保存法、処理の仕方など、かしこい使い方もぜひ身につけて
さて、おいしく元気に食べるポイント以外にも、植物油とよりよくつき合うために知っていただきたいのが、保存方法や使い終わった油の始末など。知っていそうで知らないこと、案外多いかもしれません。
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◆賞味期限 |
●缶/着色ビン/紙容器 |
約2年 |
(ごま油は約2.5年) |
●透明ガラスビン |
約1.5年 |
(ごま油は約2年) |
●プラスチック容器 |
約1年 |
(ごま油は約1.5年) |
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◆保存方法 |
●直射日光や蛍光灯の光があたらない、涼しいところに保存。
●開封後は、密閉容器に入れ、なるべく1~2カ月で使いきる。 |
◆処理の仕方 |
●揚げ物に使った油は、炒めものなどに利用し、使いきるようにする。
●捨てる場合は、固めたり、紙などに吸わせてゴミとして出す。
●流しには絶対捨てない。
*可燃物か不燃物かは、自治体によって異なります。 |
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■秋ならではのおいしいレシピ。キノコ4変化!
植物油の上手な使い方がわかったら、いよいよ応用編。今回は、秋と聞いてまず思い出すキノコを、揚げる、炒める、和えるという植物油の代表的な調理法と少しひねりを加えたホイル焼きの4つの調理法で、おいしく変身させるレシピをご紹介しましょう。
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*揚げる
まいたけのボリュームフライ
〈ポイント〉
●カロリーの少ないまいたけをボリュームUP
●まいたけと衣のカリッとした食感のコントラストが 楽しい
●チーズのカルシウムは、キノコのビタミンDと植物油を一緒に取ると吸収の効率がUP
〈材料4人分〉
まいたけ2パック、小麦粉・溶き卵・パン粉適宜、サラダ油、塩、レモン汁
〈作り方〉
1. |
まいたけは食べやすい程度の房に分ける。 |
2. |
1.に、小麦粉、溶き卵をつけ、粉チーズを混ぜ たパン粉をまぶす。 |
3. |
サラダ油などクセのない油を熱し、カラリと揚げる。 |
4. |
食べる直前に、塩(好みでレモン)をかける。 |
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*炒める
キノコの中華風炒め
〈ポイント〉
●繊維の豊富なキノコのカサが減って、たくさん食べられる
●仕上げに使うごま油の香りが食欲をそそる
〈材料4人分〉
しいたけ4枚、きくらげ(乾)10g、ふくろだけ缶1/2、干しエビ大さじ2、ピーマン3個、にんにくみじん切り小さじ1、しょうゆ大さじ1と1/2、砂糖小さじ1/2、酒大さじ1/2、コショウ少々、サラダ油1/2、ごま油少々
〈作り方〉
1. |
きくらげは熱湯をかけて戻し、固い部分を取る。 干しエビも洗ってざるに上げる。ピーマンは種を取ってタテに4つ割。しいたけは一口大に切る。
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2. |
中華鍋を熱してサラダ油を入れ、熱くなったら干しエビ、にんにくの順に炒める。 |
3. |
香りが出たら、しいたけ、ふくろだけ、ピーマンを加えて炒め、火が通 ったらきくらげを加えて調味料で味をととのえる。 |
4. |
最後にごま油を鍋肌からまわし入れて出来上がり。 |
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*和える
いろいろキノコサラダ
〈ポイント〉
●キノコをゆでるときお湯に油を入れると早く、ツヤよく仕上がる
●和えるときに油をさきにまぶすことで、野菜の水分や栄養を逃しにくい
〈材料4人分〉
しいたけ・えのき・しめじ1パック、マッシュルーム1/2パック、レタス6枚、クレソン1束、きゅうり1本、トマト1コ、サラダ油・オリーブ油・レモン汁・塩・コショウ適宜
〈作り方〉
1. |
マッシュルーム以外のキノコは一口大に切り、サラダ油、塩少々を加えた熱湯でさっとゆでる。 |
2. |
マッシュルームはスライス、レタス、クレソンは食べやすく手でちぎり、キュウリ、トマトも適当な大きさに切る。 |
3. |
ゆでたキノコ、マッシュルーム、野菜をボールでかるく混ぜ、オリーブ油をボールの縁からまわし入れてふわっと和える。さらにレモン汁、塩、コショウの順に加えて軽く和え、皿に盛る |
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*ホイル焼き
エリンギの香り焼き
〈ポイント〉
●油がキノコの香りを包み込む
●オリーブオイルで風味UP
●ホイル焼きなので風味がキープされる
●チーズのカルシウムは、キノコのビタミンDと植物油を一緒に取ると吸収の効率がUP
〈材料4人分〉
エリンギ(カオリヒラタケ)・しいたけ・しめじ・マッシュルーム1パック、ベーコン2枚、オリーブ油大さじ1、 溶けるタイプのスライスチーズ1枚、パセリのみじん切り、塩・コショウ適宜
〈作り方〉
1. |
キノコは一口大に切る。 |
2. |
アルミホイルにキノコとベーコンをのせ、軽く塩 コショウする。パセリのみじん切りをちらし、オリーブ油をかけ、さらにスライスチーズをのせて、アルミホイルを閉じる。
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3. |
200度のオーブンで約5分焼く。 |
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