植物油に関する使用実態意識調査から

8.外食・中食行動について

 認証制度を判断するには、「地球の再生産、ひいては、結果として命の再生に実効ある貢献をしているのか」などが重要なメルクマールとなりますが、実際の判断にあたっては、それらを評価する際の物差し自体を確定することすら容易ではありません。ましてや、現段階において、環境認証制度に関しては、適格性をチェックする上位の客観性を持った国際認証組織の評価システム等は存在していない状況下、パーム油に関しても、その認証制度を評価し、推奨することは極めて難しい課題となっています。   
 しかし、一方で、国際的には森林破壊が気候変動の最大の要因とされ、森林を含む自然生息地の損失速度の抑制が求められるなど、パーム油調達を巡っては環境や人権問題を中心に待ったなしの多くの課題が指摘されており、こうしたパーム油を巡る課題を少しでも解決していくためにも、こうした認証制度の有効な活用を模索していく必要があるところです。

 こうした状況下、パーム油に関しては、すでに実質的に大きな役割を果たしている民間主導のRSPOに加え、新たに、政府主導のMSPOなどが立ち上がってきているところです。MSPOについて、マレーシア政府は認証に関しては、政府で責任を持って対応するとしており、その負担が最終消費者にいかないようにしていると言明、持続可能性の支援に繋がっていくものと考えているとしています。   
 各認証システムがより良い制度構築に向けそれぞれ継続して努力していくことにより、サステナブルな環境を確保する上で、より実効性のある機能的な認証システムが構築されることが期待されるところです。   
 一方、消費者・購入者サイドからみれば、多様で選択可能な制度が存在すれば、サステナブルへの貢献、コストパフォーマンス等十分比較の上、活用できる道を広げることにもなります。

 こうした実情を踏まえれば、先行するRSPOに加え、マレーシア、インドネシア各政府によるMSPO、ISPOが国際的制度として機能することも視野に入れ、本検討会において各実施主体による意見開陳等を踏まえた建設的な議論がなされることが期待されます。   
 その上で、各システムがサステナブルな環境の確保を図る上で、実効性のある機能的かつ社会的にも有用な認証システムであることが確認された場合、RSPOならびにMSPOなど生産国政府主導の認証制度の双方を推奨し、加えて、優れた情報収集力を有する日本の商社等のCSR活動の取組と連携することなども視野に、実行可能なパーム油の調達についても、検討していく必要があると考えています。

(以上)

PREVMENU