新たな段階を迎えた植物油の国際需給
2.旺盛な需要が継続する油糧種子と植物油の市場

 このような価格上昇要因については、需給の基礎構造(ファンダメンタルズ)の変化に加えいくつかの要因が示されましたが、先ず、基本的な需給構造がどのように動いているのでしょうか。

(1)途上国における旺盛な需要

 強い需要要因の一つは、中国、インドに代表される食料需要の急速な増加が挙げられ ます。膨大な人口、急速な経済成長の結果として、発展途上国、とりわけ中国とインドにおける食料需要の増加には目を見張るものがありますが、油脂については、その傾向が一層顕著に現れています。
 1990年代半ばから大豆の純輸入国に転じた中国は、その後も油脂や畜産物の消費が爆発的に増加を続けています。2009年の植物油の一人1年当たり消費量は25kgと推計され、日本の20kgを凌駕することとなりました(表1)。


【 表1 中国における植物油需給の変化 】

(単位:百万トン)
  2007/08 2008/09 2009/10 2010/11
(予測)
生産量 19.52 21.17 22.51 23.31
    大豆油 6.57 7.25 8.3 9.35
    菜種油 4.31 5.03 5.43 4.96
輸入量 9.67 10.48 9.72 10.25
    大豆油 2.73 2.49 1.51 1.62
    菜種油 0.28 0.45 0.78 0.63
    パーム油 5.56 6.3 5.85 6.58
輸出量 24 15 14 0.15
総消費量 29.18 30.62 32.1 33.42
年間一人当たり消費量(kg) 22.2 23.2 24.1 25.0
資料:ISTA Mielke社「オイルワールド月報」
注 :2010/11は、ISTA Mielke社による予測。年間一人当たり消費量は、総消費量を
推計人口で除したもので、食用以外の用途も含む。
年度は10月〜9月

 昨年、中国は4,000万トンを超える大豆を輸入しましたが、大豆油の輸入量(151万トン)を大豆に換算すると1,000万トン近いものとなり、国内生産の1,500万トンを加算すると、世界の大豆生産量2億5,000万トンの4分の1に当たる約6,500万トンの大豆を消費したこととなります。
 そして、今後も止まることを知らない増加が続くと見込まれます。2010年9月9日に開催した第2回東アジア植物油フォーラム(日本、中国及び台湾の植物油協会で構成)において、中国植物油行業協会の代表は、今後10年間、油脂の消費は毎年200~250万トンずつ増加するとの予測を明らかにしました。
 インドの需要も着実に増加しています。インドは、大豆、菜種等の油糧種子の生産国であり、国産の原料を搾油し、不足分は油糧種子ではなく油脂で輸入することを基本政策としています。一人1年当たりの消費はまだ低い水準にありますが、それだけに今後の増加の余地は大きく、植物油の国際需給に計り知れない影響を及ぼすことが懸念されるところです。


【 表2 インドにおける植物油需給の変化 】

(単位:百万トン)
  2006/07 2007/08 2008/09 2009/10 2010/11
(予測)
国内生産量 8.91 9.63 8.69 8.76 9.79
輸入量 5.53 5.99 8.84 9.11 8.49
 うち、大豆油 1.46 0.76 1.06 1.60 1.30
ひまわり油 0.22 0.02 0.59 0.61 0.29
パーム油 3.66 5.02 6.88 6.61 6.60
輸出量 0.32 0.42 0.29 0.45 0.38
総消費量 14.25 14.95 16.74 17.53 18.00
年間一人当たり消費量(kg) 12.2 12.6 14 14.4 14.6
資料・注:表1に同じ
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