(2)菜種:世界の生産はやや減少
大豆が生産増加の中での需給逼迫であるのに対し、菜種はすべての主要国で生産の減少が伝えられています。過去2年間、1,200万トン台の生産を記録したカナダは、生育期間における天候条件に恵まれず1,100万トンの生産に止まる見込みです。カナダでは、国内の搾油能力が一段と拡大したため菜種に対する国内の需要が強く、輸出を減少せざるを得ないと見込まれます。このため、2010/11年の期末在庫は120万トンと近年にない低水準に落ち込むとの予測が示されました。日本は、220万トン程度の輸入を期待していますが、国内が減産となる中国の動向次第で市場に波乱が生じることも考えられます。
オーストラリアは前年を大幅に上回る増産が期待されていました。しかし、オーストラリア油糧種子協議会(AOF)の10月のCrop Reportは、干ばつの影響から当初の生産予測を8%下回る206万トンの見込みを発表し、市場の失望を買いました。
最大の生産国である中国も生産は減少し、同国が高い価格にもかかわらず国際市場で大量の菜種を購入することとなれば、市場は一気にタイト感を強める可能性があります。
そして気になるのはEUのバイオディーゼルの動向です。EU自体の若干の減産に加え、これまでEU諸国への供給国となっていたウクライナも減産が確実です。そのような環境下でも、なおバイオディーゼルを生産し続けるのでしょうか。
菜種油の減産により、需要が大豆油やパーム油に向かうこととなります。このことも、大豆の需給タイト感を強める一つの要因となっています。今後は、まだ状況が見えないロシアとアルゼンチンの菜種生産の動向が、市場に影響を与えることとなるかもしれません。
【 表7 世界の菜種需給の推移と予測 】
(単位:百万トン)
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2006/07 |
2007/08 |
2008/09 |
2009/10 |
2010/11
(予測) |
期首在庫 |
7.27 |
6.36 |
4.32 |
7.27 |
7.44 |
生産量 |
47.67 |
48.63 |
58.37 |
60.66 |
57.36 |
うち、EU27カ国 |
16.12 |
18.44 |
19.07 |
21.79 |
20.34 |
ウクライナ |
0.60 |
1.06 |
2.87 |
1.87 |
1.45 |
カナダ |
9.00 |
9.53 |
12.64 |
12.42 |
11.00 |
中 国 |
12.65 |
10.57 |
12.10 |
12.80 |
11.80 |
インド |
6.20 |
4.85 |
6.20 |
6.25 |
6.65 |
オーストラリア |
0.55 |
1.07 |
1.88 |
1.90 |
2.07 |
供給量合計 |
54.94 |
54.99 |
62.69 |
67.93 |
64.80 |
搾油数量 |
45.90 |
48.28 |
51.95 |
57.26 |
56.40 |
その他の用途 |
2.68 |
2.39 |
3.47 |
3.23 |
2.90 |
期末在庫 |
6.36 |
4.32 |
7.27 |
7.44 |
5.50 |
資料:表1に同じ 注 :2010/11年は、ISTA Mielke社による予測。
カナダの生産予測について、11月24日開催の日加菜種協議において、
カナダの輸出業界は11.3百万トンの生産予測を示している。
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