日本植物油協会では2010年11月1日に、通称オイルワールド社として知られるドイツのISTA Mielke社の代表で、油脂に関するアナリストとして活躍されているThomas Mielke氏を講師にお招きしてセミナーを開催しました。 また、11月7日には中国で第5回国際油糧種子及び油脂会議が開催され、アナリストとして活躍されているDorab Mistry氏(インドGodrej社)の興味深い講演があり、その講演録をいただきました。このお二人の講演から、最近の油糧種子と植物油の国際市場の動向が見えてきました。
2008年に異常な高騰を示した油糧種子の国際価格は、その反動で低下した後再びジリジリと上昇を続けてきました(図1参照)。大豆についてみると、シカゴ商品取引所の先物価格(期近もの)は、昨年7月から1ブッシェル(約27kg)当たり10ドルを超え、最近では12ドルを超える水準になりました。カナダの菜種も同様で、一時は1トン当たり380カナダドルにまで下がりましたが、最近では500ドルを超えることも珍しくなくなりました。 植物油の価格も同様です。図2は、シカゴ商品取引所における大豆油と、ヨーロッパの玄関であるロッテルダム港における輸入価格(cif価格)の変化を示していますが、油糧種子と呼応して上昇を続けています。 Mielke、Mistryのご両氏とも、油糧種子のみならず他の穀物も含め、農産物の国際市場は「新たなパラダイムへ移行しつつある」と表現し、国際価格がこれまでとは異なる高い水準に構造的に止まることを示唆されました。
【 図1 大豆及び菜種の国際価格の推移 】
資料:シカゴ商品取引所、ウィニペッグ商品取引所 注 :大豆価格は、期近物終値の月央値、菜種価格は期近物終値の月平均値
【 図2 世界のパーム油と大豆油の生産量の変化 】
資料:シカゴ商品取引所、ISTA Mielke社「オイルワールド月報」 注 :パーム油はロッテルダム港におけるcif価格の月平均値、 大豆油はシカゴ商品取引所における期近物終値の月央値
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