(1)フルーティーがオリーブ油の生命
オリーブ油の品質は何よりもフルーティーな香りにあります。果実が傷付いていたり、虫の喰った実などが含まれていると、かすかに異臭が混じり、オリーブ油の特徴を損ないます。したがって、このような果実を含まないことが、完全なオリーブ油への第一歩となります。
ほとんどの果実、例えばりんごやみかんでは完熟による高品質が追求されます。しかし、オリーブでは必ずしも完熟は追求されません。熟するにつれ含まれる油分が高くなり、生産性が向上するという利点がありますが、オリーブ油の命である新鮮な香り立ちが減衰してしまうからです。また、若い果実には、自然の生体防御機構として果実の損傷を抑えるため所謂ポリフェノールのような抗酸化物質が豊富に含まれており、これらはオリーブ油の味を形成する大切な要素なのですが、完熟した果実では、これらの成分も減ってしまいます。
(2)自分の好みの味、そして新しいものを探しましょう
品質の見分け方は、これらの特徴を感じ取ることにあります。
小さなグラスに少量のオリーブ油を注ぎ、ブランデーのように手のひらで温めて立ちのぼるアロマを確かめ、次に口に含んで舌の上でなめらかさと味の特徴を確かめます。さらに口から息を吸ってオリーブ油によく混ぜ、鼻に香りを抜いて広がる香りを確かめるのです。明らかな粗悪品は容易に見分けることができますが、実際には風味要素の変化は微妙で、風味の判定は訓練や経験の積み重ねが欠かせません。
しかし、大切なのは、プロが見分ける品質ではなく、自分の好みや料理に適する味を探すことかもしれません。
オリーブ油の専門店やデパートなどではテイスティングができる場合がありますので、積極的にトライして銘柄と味とを確認されてはいかがでしょうか。また、レストランで美味しいオリーブ油に出合ったとき、お店の方に銘柄を尋ねることや、その店で買うことができないかご相談されることをお勧めします。
残念ながら、普通の小売店では中身を確かめることができません。信頼できる販売者であるかどうかよくラベルをご覧になって、新しいものをお買い求めになることがよいでしょう。特に、高価なオリーブ油の場合、長い間棚に置かれているうちに光や温度によって品質が劣化している場合も見受けられますので、注意が必要です。
最近では、オリーブ油のテイスティング講座が開かれる機会も増えていますので、舌を磨き、味の見分けに挑戦されてはいかがでしょうか。
(3)いろいろな食べ方にトライしてみましょう
植物油は、揚げる・炒める・和えるが主な調理法で、味や風味を余り主張しないのが特徴です。しかし、オリーブ油は、これに加えて調味料の役割が加わります。カルパッチョは、オリーブ油を調味料として利用した料理の代表です。ハーブ類や香味野菜との相性も良く、これらを漬け込んだ香味油としてもお楽しみいただけます。
“オリーブ油といえば地中海料理"が定番ですが、それだけでは余りおもしろくありませんね。オリーブ油は、意外に和食にも調和するのです。特にオリーブ油はお醤油との相性がとても良いのです。お寿司に一滴垂らして食べるなんて、ちょっと小意気かもしれません。オリーブ油を加えたおひたしは、おもしろい味わいです。マグロの赤身がトロに変身も愉しい体験です。
エクストラバージン油は香りが生命です。サラダだけでなく、バターの代わりにトーストに垂らしてみてください。また、暖かいお料理の仕上げに一振りという使い方もお勧めです。グリルした肉や魚、野菜、スープなどで試してみて下さい。軽く塩・コショウした赤味の牛肉のステーキにオリーブ油を振り掛ければ、肉が柔らかく食べられ、しかもヘルシーです!
ただし、高温で長時間加熱をすると大切な香りが損なわれますので、香り豊かなエキストラバージンの高級品をフライに用いるのはちょっともったいない気がします。
揚げ物にはまず、ピュア・オリーブ油を試してみて下さい。ただし、天ぷらのように沢山の油を使用するのではなく、フライパンに浅めに油を張って揚げる“パンフライ"であれば使う油も少なくて済みます。いかのリング揚げ、オリーブ油と絡めるようにさっと炒めた牡蠣、、、、、。次々とおいしさの泉が湧き出してくるようですね。ピュアの次は是非、エキストラバージンのフライにもトライして見て下さい。慣れると病みつきです!
今夜の夕食、オリーブ油で新しい味を探検してください。
【日本植物油協会の会員企業で取り扱っているオリーブ油】
* 日本でただ一人の“オリーブオイル・テイスティングパネル・スーパーバイザー"が語るオリーブ油の蘊蓄については、次のURLからご覧ください。
https://www.bosco-olive.com/
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