タイトル
~ ごま油からひとこと ~

 ごまはアフリカのサバンナ原産の一年草で、栽培の歴史は古く、ナイル川流域では紀元前3000年以上前から栽培されていたようです。種子からは、当時非常に貴重であった食用油及び灯油(灯明油)を取り、また、精力の付く食品として重用されていたことがエジプトの記録に残されています。またインドでは数千年の歴史を持つ予防医学のアーユルヴェーダで、ごま油で薬草などを煮たものを身体に塗ったりすることが基本的な医術として用いられてきました。
 このように、昔から健康に良いと言われているごまには、体内では合成出来ない必須脂肪酸や必須アミノ酸がバランスよく含まれています。また、近年の研究によって老化や成人病を予防したり、肝臓の機能を活性化させるなどの働きを持つごま特有の成分であるごまリグナンが含まれていることが分って来ました。特に、リグナンのなかで最も多く含まれているセサミンは、肝臓の活性酸素を除去する能力が非常に優れており、肝機能改善効果が確認され、アルコール代謝活性化、コレステロールの合成・吸収阻害、乳がん抑制効果などもあることも明らかになってきました。 
 健康に良いとされる成分がバランス良く含まれているごま油は、抗酸化性成分を含んでいるため酸化安定性に優れ、油の酸化によって発生しがちな嫌な酸化味や酸化臭が出にくいという特長があります。その独特の芳香を生かし揚げ物、中華料理、ドレッシング、焼き肉のタレなど幅広い用途に使われています。また、単に調理油としてだけではなく、風味調味油、旨味やコク出しの調味油としても幅広く利用することが出来ます。
 ごま油は、ごまを焙煎することにより独特の香りが引き立ちます。焙煎をせず生搾りしたほとんど無香性のものから、焙煎の度合いによって、ほのかな香りでマイルドなもの、淡い香りのもの、中庸の香りのもの(家庭用として最も普及しているタイプです)、香りの豊かなもの、そして強力な香りのするものまで、それぞれの料理によってもっともよく特徴を発揮できる商品をお選びいただきたいと願っています。また、会員各社は、それぞれ工夫を凝らして風味などに特徴がある商品を製造しています。今後も各社がそれぞれ得意の分野で、更なる品質改良につとめ、皆様に喜んでいただける商品開発に努めて参ります。
日本ごま油工業会
竹本油脂株式会社

~ こめ油からひとこと ~

 日本で初めてこめ油がつくられたのは、今から300年余りを遡る元禄時代、三重県の桑名だと伝えられています。たまたま米ぬかが落ちていた紙に油が染みているのを見て、米ぬかから油が採れることに気づいたとか。当時は、手延べそうめんの伸ばし油や薬用に重宝されていたようです。
 玄米を精米するとできる糠層と胚芽の部分が米ぬかですが、この米ぬかには意外にも20%の油分が含まれており、一合の玄米から2グラムのサラダ油が採れます。原料である米ぬかは変敗しやすく、工業的に生産するに足るだけの数量を確保することがむずかしい上、油の抽出・精製が困難なこともあって、本格的なこめ油の生産は昭和に入ってから始まりました。
 こめ油は、風味や加熱安定性に優れていることから、主にせんべいなどの米菓、スナック菓子(ポテトチップス)、かりんとうなどの揚げ油やマヨネーズ、マーガリンなどにも幅広く使用されています。植物油の中では国産の米が主原料であることから、6、7年前より学校給食で広く利用されるようになりましたが、最近では、オレイン酸とリノール酸の脂肪酸バランスが良く、こめ油特有の栄養成分γ―オリザノールをはじめビタミンE、植物ステロール等が多く含まれていることが評価され、健康オイルとして消費者の皆様の目にも留まるようになってきました。
 食の安全・安心は製造者にとって最重要の責務です。こめ油は、JASの認定のもとに出荷されており、製造各社は品質管理に万全の注意を払い、お客様に安全・安心をお届けできる体制づくりに積極的に取り組んでいます。特に農薬については、国の法規制を厳正に遵守するため、定期的な残留農薬の分析を行っており、これまで、原料・製品において検出されたことはありませんが、更に、未認可の農薬が使用されていないかなどのチェックを関連機関の協力を得て進め、安全確保に万全を期しています。
 お米が日本の食料自給率を支える大切な資源であることはよく知られています。この貴重な資源を無駄なく利用しているのがこめ油です。お米が和洋中の料理に合うように、こめ油も素材の味を活かすさらっとした風味の良さで、どんな料理にもフィットします。私たちは、これからも、安全ですぐれた機能を持つこめ油が、より多くの皆様にお楽しみいただけるよう努力したいと考えています。
日本こめ油工業組合
築野食品工業株式会社

~ 綿実油からひとこと ~

 綿実油をご存じでしょうか?
 天然繊維である“わた”は、世界中の多くの国で栽培されていますが、その綿の種子(綿実)を搾って得られるのが「うまい油・綿実油」です。
 綿実油やこれをさらに精製した綿実サラダ油は、てんぷらなどの揚げ油として素材の旨みを引き出すとともに、胸焼けしないといった特徴を持つことから、植物油の中で高い評価を受け、高級料亭やこだわり店では欠かせない一品となっています。
また、生での風味にも優れており、マヨネーズやドレッシングあるいは高級ツナ缶のベースオイルとして利用されています。意外なところでは、手延そうめんの製造に綿実油が使われています。これは植物油の中でも綿実油が特に主原料の小麦粉との相性がよく、そうめんの品質安定性に効果があると認められているからです。
 綿実油はバランスの良い脂肪酸組成、ビタミン-E(α-トコフェロール)の含有量が多く、コレステロールの体内吸収を防ぐと言われている植物ステロールが比較的多く含まれ、健康に貢献する油として注目されています。
 私たちは、これまでも綿実油の安全性や品質の安定性について細心の注意を払って参りました。しかし、消費者の皆様の安全・安心への関心の高まりにお応えするには、さらに踏み込んだ管理が必要であると考えています。
 例えば原材料の残留農薬や細菌による汚染や有害物質の混入などを定期的に検査し、問題がないことを確認の上、使用して参りましたが、今後も一層検査の頻度と精度を高めて参ります。また、工場における衛生管理について『これで本当に万全か』と常に見直しを行っています。
 さらに、各社で取り組んでおりますISO 9001(品質マネージメントシステム)やISO 14001(環境マネージメントシステム)を正しく運用することで、安全・安心の質的向上が一層図られるものと確信しております。
これからも、気配り、心配りに努め、最高級の綿実油を提供させていただきますので、どうぞ安心してお召し上がりください。
日本綿実油工業会
岡村製油株式会社

~ ひまし油からひとこと ~

 3年ほど前にあるコラムニストから、“昔はよく耳にしたが今はほとんど聞かれなくなったものを追う”との趣旨の取材を受け、「ひまし油の知られざる活躍」という記事が紹介されたことがあります。ご年輩の方は、ひまし油から下剤を連想されるかもしれません。最近では、ダイエット効果を期待される向きもあるようですが、お奨めはいたしかねます。
 ひまし油は、他の植物油とは異なり主な用途は食用ではありませんが、乳化剤などに活用されている立派な植物油です。しかし、現在、ひまし油を供給できる国はインドに限られ、生産の豊凶変動が大きいことから安定して確保することが難しいのが私たちの悩みです。
 40年ほど前まで、ひまし油の分野別使用割合は1/3が塗料、1/3が化粧品、残り1/3が界面活性剤でした。当時、家電製品の白い塗装はひまし油アルキッドとメラミンの焼付け塗装が主流でした。繊維産業の隆盛に合わせて、梳毛油・紡毛油・染色助剤の原料として多く使用され、化粧品用途ではポマード、チック用が圧倒的でした。
 しかし、その後の技術革新や産業構造の変革で使用分野が全く変わりました。現在ではひまし油とそれから得られる誘導体が、電気絶縁性や耐水性に優れている機能や、油性の液体を固化させる能力を活用して様々な工業用途に利用されています。
身近なところでは、ウレタン樹脂、レトルト食品の包装材などが挙げられます。また、電子部品の封止剤や船舶、橋梁、自動車などの塗料の垂れ止め剤に活用されています。無論、医療・医薬関係ではおなじみの下剤のほか鎮痛消炎などの貼り薬に利用されています。抗菌作用に優れていることから、歯磨きの際利用される口内消毒剤の添加剤として用いられています。
 もっと身近なところでは、チョコレートの乳化剤や、家庭での処分が難しい使用済み油の凝固剤としても活躍しています。
 こうしてみると、ちょっと縁遠いように思われるひまし油が、私たちの日常生活に極めて近いところで活躍していることに驚かれるでしょう。
 ひまし油は植物から採取され、再生が可能で、環境への負荷が小さい油脂です。私たち日本ひまし工業会は、ひまし油が持っている優れた性質をもっと引き出していくような技術開発に努め、植物油製造業界の一員として今後も社会に役立つ環境対応型の商品開発に取り組んでいきたいと考えています。
日本ひまし工業会
伊藤製油株式会社

PREVMENUNEXT