バイオディーゼル実用化に向けて

 現在では、一時的なブームは下火となりましたが、タイ政府は着々とバイオディーゼル実用化に向けた取組みを実行しています。
 エネルギー省は海軍と共同で、2003年5月から9カ月間かけて、海軍施設においてバイオディーゼルの使用が可能かどうかを調査することとしています。この調査を行うため、エネルギー省では400万バーツの予算を計上しており、調査で良い結果が出れば、さらに他省庁にも協力を求めていくとしています。
 また、2003年5月6日の会見で、農業・協同組合省のネウィン副大臣はバイオディーゼルの振興に言及し、「農業は、単に食糧の生産を行う手段ではなく、エネルギー生産の手段にもなるのだ。2004年は農業の新たな局面を開く年だ。」として、2004年にパーム油の栽培適地における土地改良事業等の生産振興策を重点的に実施する計画を明らかにしています。  タイにおける王室の求心力は非常に強く、王室が中心になって行うプロジェクトの成功率は他のプロジェクトに比べて高いと言われています。
 パーム油を利用した代替燃料の実用化は技術的に大きな問題はなく、プロジェクト計画書に盛り込まれた原油輸入による経済的負担の緩和、自動車排ガスによる環境影響の減少、パーム油の需要拡大などの様々な効果は現実性を持つものと考えられています。この考え方に立って、政府は今後もバイオディーゼル実用化に向けた取組みを継続していくことを明らかにしています。この努力が実を結び、タイの経済と農業の発展に大きい効果が期待される日は遠くないのではないでしょうか。

* 世界の植物油事情「タイからの便り」は、日本貿易振興機構(JETRO)バンコク・センターの都築伸幸さんから寄せられた情報を基に作成しています。
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