特集2 い・ろ・い・ろ・植・物・油 世界の様々な原料から、個性豊かにそろい踏み
 植物油と一口に言っても、その種類は実にさまざまです。大豆油、なたね油のように原料がそのまま植物油の名前になっているものもあれば、サラダ油、天ぷら油などのように用途からきたネーミングのものもあります。
 この種類の多さに、何を選んだら良いか迷うことも多々あるかと思います。植物油の多様性は、原料の種類が多いことに加え、バラエティ豊かな日本の食生活に応じてそれぞれの用途にあった特質が発揮できるよう、複数の植物油をブレンドしていることによるものです。しかし、ブレンドした油にも必ず原料名が表示されているため、それも選択の基準になります。それぞれ原料ごとの油の特性を知って選ぶこと、それが植物油を選ぶ“基本”なのです。
 日本で消費されている植物油の原料は、こめ油を除いたほとんどが輸入原料でまかなわれています。その数量は700万トン近くにものぼり、日本最大の農産物であるお米の消費量が1000万トン弱であることと比べると、植物油原料の多さがよくわかることでしょう。ちなみに、これを国内で生産しようとすれば、約250万ヘクタールの農地が必要で、稲の作付面積をも上回ることになります。このように世界中で生産される優れた品質の原料を、大量に絶え間なく輸入することによって、質、量、価格ともに安定した植物油を食卓に届けることができるのです。
 大地の恵みそのままの植物油。それぞれの特長を知って使い分ければ、食卓がより豊かなものになること、間違いなしです。
《主な植物油》
なたね油
Rape Seed Oil
原料:菜の花の種 主な輸入先:カナダ 国内需要量:
863千トン
●安土桃山時代から使われてきた伝統的植物油。独特の風味が特長。近年は「キャノーラ種」というカナダで改良された菜種が使用されている。用途は加工からサラダなどの生食まで多岐に渡る。
大豆油
Soybean Oil
原料:大豆 主な輸入先:アメリカ,ブラジル 国内需要量:
690千トン
●淡泊な風味が特長。サラダ油として使われることが多い。用途は加工からサラダなどの生食まで多岐に渡る。
コーン油
Corn Oil
原料:とうもろこし胚芽 主な輸入先:アメリカ 国内需要量:
103千トン
●加熱に強く、独特のコクと風味が特長。揚げものや炒めものに幅広く使われ、特に揚げものはカラッと揚がる。また、風味が安定しているのでドレッシングやマヨネーズにも多く使われている。
こめ油
Rice Bran Oil
原料:米ぬか 主な調達先:日本 国内需要量:
66千トン
●日本で使われるもののなかで唯一国産原料で作られる植物油。色の濃い油で、コクのある味わいと酸化や加熱に強いのが特長。そのため、スナック菓子などの加工からサラダなどの生食まで、幅広く利用されている。
紅花油
(サフラワー油)
Safflower Oil
原料:紅花の種 主な輸入先:アメリカ 国内需要量:
58千トン
●淡色で淡泊な風味が特長で、サラダなど生食に多く使われる。リノール酸を多く含むのが特長だが、近年、品種改良によってオレイン酸の多い「ハイオレイック種」が主流に。
ごま油
Sesame Oil
原料:ゴマの種 主な輸入先: 中国,グァテマラ,スーダン 国内需要量:
37千トン
●香ばしい風味が特長。製造段階でのゴマの煎り方によって、香りの強さにバリエーションがある。加熱や酸化に強く、香ばしい風味を生かした天ぷらなどの揚げものや炒めもの、ドレッシングなどに幅広く利用されている。
綿実油
Cotton Seed Oil
原料:綿花の種 主な輸入先:オーストラリア、アメリカ 国内需要量:
18千トン
●綿を採ったあとの綿花の種子から作られる植物油。独特のコクと風味が特長。単独でサラダ油として使われる。
ひまわり油
Sunflower Oil
原料:ひまわりの種(黒) 主な輸入先:アメリカ、中国 国内需要量: 14千トン
●ひまわりの種には白と黒があるが、植物油になるのは黒色。あっさりした風味が特長。調理に使われるほか、マヨネーズやマーガリンなどにも利用されている。
オリーブ油
Olive Oil
原料:オリーブの実 主な輸入先:イタリア、スペイン 国内需要量:
27千トン
●種から作るものが多いなかで、果実から搾られる植物油。独特の風味はイタリア料理、スペイン料理には欠かせず、この地域では揚げものから炒めもの、サラダなど生食まで広く使われている。
MEMU