1 植物油におけるパームの地位
パーム油は、世界中の植物油生産の3割程度を占め、油種別にみて最も利用され
ている植物油です(パーム油62百万t、大豆油48百万t、菜種油26百万t)。パーム油は主に赤道近くの熱帯地域が主要産地であり、アブラヤシの果肉から得られる永年性作物であり年間通じて5~30年間結実することから、生産力が増減するサイクルを有しているものの、世界的レベルで拡大基調が継続しています。
2 パームの需給事情
パーム油の生産をみると、実質的にはインドネシアが世界生産の54%、マレー
シアが30%と、この2ヶ国がプランテーション形式で生産国国内需要を遥かに超える生産量を実現し、その大部分を輸出に振り向けています。一方、輸入は、インド、EU、中国などが中心となっています。
2015/16年のパーム油の世界総生産は対前年度比6.5%減の5,829万t、うちマレーシアは、対前年度比11.0%減の1,768万t、インドネシアは、6.0%減の3,123万t。2015/16年の生産にあたっては、エルニーニョの影響が大きく、マレーシアにおいては、サバ・サラワク州を中心に乾燥傾向等が継続したところです。こうした状況下、総輸出は、対前年度比5.9%減の4,482万t。このうちマレーシアが対前年度比4.3%減の1,666万t、インドネシアが対前年度比8.8%減の2,376万t。総消費は、対前年度比3.3%増の6,240万t。このうちインドが対前年度比0.6%増の915万t、インドネシアは、一昨年夏から開始された補助金制度によるBDF需要もあり対前年度比23.0%増の881万t。これに対して中国は、大豆搾油の増加で、パーム油から大豆油への需要シフトもあり、対前年度比10.0%減の526万tとなっています。この結果、世界全体のパーム油期末在庫は、28.2%減の954万t、うちマレーシアは、対前年比41.4%の減少が見通されています。
3 最近の生産動向
2016/17年のパーム油の世界総生産は対前年度比9.5%増の6,380万tが期待されているところです。うちマレーシアは、対前年度比9.5%増の1,937万t、インドネシアは、10.9%増の3,482万t。一方、総輸出は、対前年度比4.6%増の4,682万t。このうちマレーシアが対前年度比1.5%増の1,690万t、インドネシアが対前年度比7.3%増の2,550万t。総消費は、対前年度比2.5%増の6,346万t。このうちインドが対前年度比4.1%増の953万t、インドネシアは、対前年度比6.5%増の929万t。これに対して中国は、対前年度比3.2%減の509万t。世界全体のパーム油期末在庫は、3.8%増の1,022万t、うちマレーシアは、対前年比22.9%の増加が見通されるところです。
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