一般社団法人 日本植物油協会 社団法人日本植物油協会は、日本で植物油を生産している企業で構成している非営利の業界団体です。

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植物油と栄養

 日本は、いま世界一の長寿国とされています。厚生労働省「平成24年簡易生命表」(速報)では、女性は世界で最も長寿の座を取り戻し、男性はわずかな差で5位でした。平均寿命(現在0歳の子供が保つと想定される平均的な余命)は女性が86.41歳、男性が79.94歳でした。戦後間もない昭和22年(1947年)には女性が53.96歳、男性が50.66歳でしたから、驚異的な伸びであると言えるでしょう。平均寿命が大幅に伸びた理由として、医療の進歩、生活環境の改善と並んで、食生活の向上による栄養摂取の改善が大きく貢献したと考えられています。食生活の向上については、特に食肉類、乳・乳製品類、油脂類の摂取量の増加が特徴的で、それまで日本人には摂取不足であった動物性蛋白質と脂質の適正な摂取が実現されました。このうち、脂質の摂取についてはこれまで緩やかに増加してきましたが、この数年は除々に減少する傾向にあります。過剰摂取の懸念があるとの風潮という要素に加え、高齢化の進行が脂質摂取に抑制的にはたらいているものと考えられます。

 ここでは、脂質、特に植物油が有する栄養学的な特質や、適正な摂取、植物油が果たす役割などについてご紹介いたしましょう。なお、ここで主に引用する「日本人の食事摂取基準(2010年版)」は、新たな改訂版(2015年版)の作成作業が開始されていますが、現時点では2010年版に基づいて記述を進めていくこととします。

1.植物油と健康

(1) 脂質は5大栄養素の一つ

 植物油は、そのまま栄養素としての脂質でもあるという特徴を持つ食品です。したがって植物油の栄養価値とは、そのまま植物性脂質の栄養価値という言葉に置き換えることができます。このような食品は、砂糖などごく一部しか見当たらないと言ってよいでしょう。
 脂質は、たんぱく質、糖質(炭水化物)、ビタミン、ミネラルと並ぶ5大栄養素の一つです。これらの中で、人体にとって主要な熱源(カロリー源)となるのは、糖質、炭水化物及び脂質です。以前には3大栄養素と称したこれら栄養素の特徴や人体内での主なはたらきを表1に示しました。3栄養素のいずれもが人体の活動を支える重要なはたらきをしており、これらを適正に摂取することは健康を維持するうえで重要な課題です。
 3栄養成分に共通する特徴は、いずれも重要なエネルギー供給源であることで、中でも脂質は1g当たり9kcalのエネルギー供給源です。このことが、脂質を過剰に摂取した場合にカロリー摂取過多の懸念が生じ、、「油を食べると太る」という誤解の根源になっているようです。しかし、エネルギー供給源として効率的であり、少量の摂取で人体の活動力を高めるはたらきがあると考えることもできます。
 これからご紹介するエネルギーの供給以外に脂質が有している重要な機能をご理解いただき、糖質、たんぱく質とともに適正な摂取に心掛けていただきたいと願っています。

表1 3大栄養素のはたらき
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 それでは、エネルギー供給源として脂質の適正な摂取量はどのようになっているのでしょうか。これについては、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」において、表2のように指標が示されています。
 摂取の目標量は、1日当たり摂取総カロリーに対する比率で、普通の成人男子では1日当たりの平均的な摂取カロリーが約2000kcalですから、400~600kcalを脂質から摂取するのが望ましいということになります。これを9で割れば、必要な脂質摂取量が概算できます。
 目標量という言葉は、絶対にこの数量が必要という意味ではなく、説明欄にありますように生活習慣病を予防するためには、概ねこの程度の脂質を摂取することが好ましいと考えられるので、当面は、この水準の摂取に努めるということを意味しています。「日本人の食事摂取基準(2010年版)」の脂質摂取に関する特徴は、2005年版では15~20%としてきた70歳以上年齢層の摂取目標量を20~25%に引き上げたことでしょう。その背景には、高齢者の栄養不足についての懸念が高まっていることがあります。

表2 脂質の好ましい摂取量(摂取エネルギー比率)
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資料:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」

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