アメリカ中西部を襲う干ばつと大豆生産

3.これからのカナダの菜種生産

 これまで述べましたとおり、世界の大豆生産は、「2011年のアメリカ産大豆の減産→2012年の南米産大豆の大減産→2012年のアメリカ産大豆の減産」と、減産が3期続きました。比較的余裕のあった在庫も大幅に減少し、世界の大豆需給は綱渡り的な状況にあります。もし、2013年産の南北アメリカの大豆生産が不調にでもなれば価格がさらに上昇するだけでなく、現実のモノ不足から「大豆が買えない」という事態にもなりかねません。

 通常、価格が上昇すると、その翌年は作付が増えるという傾向があります。しかし今年の場合は生産地域が競合するトウモロコシの価格も高騰し、相対的な収益性においてトウモロコシが優位な位置にあります。したがって現在の条件ではトウモロコシとの農地の奪い合い(Acreage war)が生じるかもしれません。

 この不安に対し、Joe Steiner氏は、次のように話しています。 「確かに、現在の価格条件ではトウモロコシが優位にあります。しかし来年の播種のために必要なトウモロコシの種子が十分に確保できていないという問題がある。通常、種苗企業は、種子需要の30%増しぐらいの生産を行っているが、今年は種子生産用の農場においても、この干ばつで種子生産がままならず、種子供給が不足すると見込まれます。

 もう一つは、トウモロコシの連作は収量の大幅低下を招くので、生産農家は適正な輪作を行うことになります。

 最後に今年の特徴ですが、トウモロコシが十分に生育できなかった結果、土壌に十分な栄養分が残っています。この上で大豆を作れば、肥料代が大幅に削減できることとなります。」

 私どもは、農業とは豊かな収穫の恵みを、生産者だけでなく関係者のすべてが喜び合い、分かち合う産業であると考えています。アメリカの農家の皆さんが苦境に立っておられることに心からお見舞いを申し上げ、そしてこの言葉を信じて実りの2013年に期待しています。

PREVMENU