ちょっと不安が生じた菜種の供給
3.異常な天候条件

 カナダ政府は、毎年3月のはじめに、農家がどのような作物を栽培しようとしているかという播種意向調査を実施しています。今年の調査では菜種を栽培したいとする農家の意向は強く、播種面積が前年より10%以上増加するという調査結果に私どもは意を強くしていました。というのは、この意向調査が行われる時期には、農家は既に播種用の種子を購入しており、栽培面積が増加することを確信できたからです。しかし播種作業に思わぬ障壁が立ちはだかりました。

 種時期に当たる4〜5月の土壌水分が例年に比べ異常に高いものでした。加えて多くの地域で大量の降雨が河川の氾濫を招き、大袈裟に言えば、いたるところで臨時の湖や池が出現しました。このようなぬかるみ状態では、播種用の機械を農場で操作することが不可能になります。やむを得ず小型飛行機による空中播種や、離れた場所から種子を噴射してばらまくという措置も実行されました。菜種の種子は、地表から概ね1インチ(2〜3cm)程度の深さに播種されることが正常な発芽と初期生育のために必要になります。通常の播種機械ではこれが実行できるのですが、空中播種などの場合は種子が地表に置かれるだけで、確実な発芽に至らないことが多くなります。

 播種後も、霜が降るなど冷涼な気候が続き、雨も多く、発芽のために十分な積算温度が得られない状態となりました。このため播種はしたものの適正な発芽が行われない状態が随所に見られ、正常に発芽したものでも初期生育が十分でない状態となりました。

 播種された面積は約1,850万エーカー(約835万ヘクタール)と見込まれていますが、今年の生育条件の下で、どれだけの面積で菜種が生育し収穫できるのかが重要な問題となります。

 例年、播種面積と収穫面積との際は1%程度でしたが、ともに播種から生育期にかけて気候条件が劣悪だった2009年、2010年では、播種面積に対する収穫面積の割合は、それぞれ97.2%、95.9%でした。過去2年間より気候条件がなお劣悪な今年、この比率がどの程度になるのかが菜種の生産量を決定する大きい要素となります。

 収穫面積の動向とともに、収量や品質がどうなるかも懸念材料です。それは、これからの天候が決定要因となります。好天に恵まれ、適期収穫が行われれば、高い収量と品質が期待できます。これからの気象情報が、市場を動かす材料になります。


【 図4 空中から見た菜種生育状況 】
(アルバータ州。黄色と薄緑の圃場が菜種、生育の不揃いが目立つ。黒く見えるのは水溜まり又はブッシュ)

 図4 空中から見た菜種生育状況

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