新たな段階を迎えた植物油の国際需給
3.主な油種は需給逼迫が継続

(3)パーム油:引き続き増産だが需要も著増

 パーム油の大豆油を凌駕し、世界で最も多く生産される植物油となりました。また、世界の植物油貿易量の過半を占める存在となり、2010/11年には貿易量の58%を占めると見込まれています。世界中の食生活が、パーム油抜きでは考えられない時代になったと言うこともできるでしょう。パーム油は、マレーシア、インドネシアの両国が世界の生産量の85%以上、貿易量の90%以上を占める構造にあります。したがって、今後の需給も両国の動向に依拠しています。
 2010/11年において、両国とも生産を順調に増加させるものと見込まれていますが、ここでも増大する需要が国際需給をタイトなものとしています。大豆油、菜種油、ひまわり油などが、天候の影響で生産にかげりがある中で、パーム油に対する需要が殺到していることがその背景にあります。パーム油は価格が安いというのがこれまでの共通した見方でしたが、現実には高い水準に張り付いていることは既に述べたとおりです。
 Mistry氏は、2011年の初頭においては、マレーシアの生産がやや停滞するかもしれないが、生育のサイクルから4月以降は増産に転じると見込まれる。一方、インドネシアでは作付面積の拡大に限界が見えており、これまでのようペースでの生産増を期待することに警告を発しておられます。


【 表8 パーム油需給の推移と予測 】

(単位:百万トン)
  2006/07 2007/08 2008/09 2009/10 2010/11
(予測)
期首在庫 5.80 6.05 7.47 7.36 7.21
生産量 37.82 42.79 44.25 45.87 48.88
うち、インドネシア 16.85 19.08 20.50 21.35 23.50
マレーシア 15.29 17.57 17.26 17.77 18.20
輸出量 29.61 32.82 35.60 36.35 38.30
うち、インドネシア 12.46 14.10 16.21 16.35 18.00
マレーシア 13.77 15.04 15.99 16.62 16.92
消費量 37.36 41.18 44.67 45.84 48.68
期末在庫 6.05 7.45 7.37 7.21 7.45
資料・注:表7と同じ
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