植物油との出会いが生んだ世界の即席麺

2.即席麺はこうして作られる

 即席麺は、その後の技術の開発に伴って、油で揚げない乾燥方法による製品も登場しました。また、食生活の変化につれて高級感のある製品、一層手軽なカップ麺、少し時間を掛けて調理過程を楽しむことができる商品などが登場し、多様性のある食品となりました。したがって、即席麺の製造工程も種類によって様々になりますが、ここでは基本的な工程をご紹介しましょう。

① こね水調整

 水に食塩、かんすいなどを溶かして小麦粉をこねる水溶液をつくる作業です。小麦粉1kgに対して水300〜400cc前後(湿度・室温により変動)、食塩10〜30g、「かん水(鹹水)」1〜2g(非油揚げ麺の場合は3〜6g)を使用します。

*かん水(鹹水)とは、元々は塩湖の水を意味しましたが、今では工業的に製造されています。即席麺だけではなく中華麺に特有の「麺質」と「風味」をつけるために欠かせない材料です。

② 混合・練り込み

 ミキサーで小麦粉と@の「こね水」をこねる作業です。小麦粉とこね水が混合されて網の目のような構造が形成され、麺のコシが作られます。温度は20〜30℃、こねる時間は15〜20分程度がよいとされています。出来上がった生地をドウ(dough)といいます。パン生地やビスケット生地と同じですね。

③ 麺帯形成

 生地は、回転している2個のローラーの間を通され麺の帯になります。その麺帯を上下2枚作り、次のローラーで貼り合わせます。これにより麺帯が強く、しかも均一となります。なお、2枚を合体させる前に生地を一定時間寝かす場合もあります。

④ 圧延

 厚さ1cmほどになった麺帯は、いくつもの圧延ローラーの間を通過するうちに次第に薄くなっていき、最終的に麺に適する1mm前後の薄さになります。この間に麺の網目組織が強化され、「あし・こし」の強い麺が出来上がります。

⑤ 麺線切り出し

 圧延の終わった麺は、切り刃が回転する「切り出し機」に掛けられ、麺線になります。中華麺の場合は18番〜22番の切り刃が使われます。3cmの幅の中に18本の刃があるものが18番、22本のものが22番です。うどんは中華麺より番手が小さく(切り刃が少なく麺線が太い)、蕎麦は番手の大き目のものが使われます。切り出された麺線はコンベアによって次のプロセスに送られます。 即席麺の多くはウェーブが掛かっていますが、麺を切り出す速度よりもコンベアで次に送られる速度が遅いため、1cmほどの溝の中で麺線が渋滞を起こすことによりこのウェーブが形成されるのです。

⑥ 蒸熱

 切り出された麺線はコンベアに載ったまま連続蒸し機を通して蒸されます。通常、100℃の蒸気で1〜5分かけて蒸されます。これにより麺のでん粉がアルファー化され、消化できる状態になります。

⑦ 着味

 いわゆる味付け麺の場合は、この段階でスープの着味が行われます。麺をスープに2〜6秒浸漬するか、スープを霧状にして麺に吹き付ける方法があります。いずれも蒸した麺の表面からスープが十分浸透するよう工夫が凝らされています。このほか調味料を生地(ドウ)の段階で練り込む方法もあります。スープ別添の麺ではこの工程はありません。

⑧ 切断・型詰め

 これまでは麺が長いまま連続して加工されてきますが、ここで1食分のおよそ65cmに切断され、丸形か角形の金網枠に1食づつ入れて整形されます。

⑨ 乾燥処理

 次に麺から急速に水分を取り除いて乾燥させ、でん粉のアルファー化を固定します。乾燥方法は油揚げが主流ですが、熱風乾燥、フリーズドライもあります。

  • 油揚げ乾燥…チェーンで連結された金網枠ごと、麺を140〜150℃前後の揚げ油に漬け、1〜2分で油槽を通過させます。生地の段階で30〜40%だった水分は、ここで3〜6%まで減少し、乾燥状態となります。
  • 熱風乾燥…金網枠ごと熱風乾燥機の中を通過させ、80℃前後の熱風により30分以上掛けて乾燥します。これによって乾燥させた麺を非油揚げ麺(アルファー化乾燥麺)と呼んでいます。

⑩ 冷却・検査

 乾燥直後の高温の麺に冷風を吹き付けて室温近くまで冷却します。この後、金網枠からはずされた麺の重量・形・色・乾燥度・油揚げ状態・冷却程度などについて検査が行われ、基準に合わないものは取り除かれます。

⑪ 包装・検査

 出来上がった麺は別添の調味料やかやくなどとともにフィルムで密封されるか、カップ麺の場合は容器に入れられ、アルミなどのフタ材で密封された後シュリンクフィルムで包装されます。その過程で、基準に合わないもの、異物混入、密封不全等につき厳格な検査が行われ、適合したものだけが出荷されます。


【 図2 即席麺の製造方法 】
図2 即席麺の製造方法
資料:日本即席食品工業会提供

 即席麺の主流である油揚げ麺に使用される油は、酸化安定性が大切であることから、かつてはラードが主に使用されていましたが、現在では安定性や風味の面で優れているパーム油が主に使われています。商品によってはラードが使われ、まれにですがゴマ油が使われる場合もあります。

 油揚げの過程では、麺が油を吸収するので絶えず新鮮な油を補給し、油槽内の油を適正な量に保っておく必要があります。つまり、即席麺の油揚げ装置は、常に新鮮な油で揚げられるように麺の製造量に見合った必要最小限の量を維持するよう設計され、コントロールされているのです。

 即席麺のJAS規格では、油の酸価について「油処理により乾燥したものの油脂にあっては、1.5以下であること」とされ、その測定方法も定められています。因みに即席麺のCODEX規格「CODEX Standard for Instant Noodles」では、油揚げ麺の酸価は2.0以下とされており、JASの規格がより厳しくなっています。

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