おせんべいと植物油、このすばらしきハーモニー
4.揚げせんべいの誕生

  おかきやせんべいは、強い火力で焼き上げるのが一般的ですが、油で揚げるおかきやせんべいの魅力も捨てがたいものです。油の特徴に、素材が持つおいしさを引き出す効果がありますが、おかきやせんべいを油で揚げることで、おいしさが一層引き立ちます。

  では、いつ頃から揚げた米菓が登場したのでしょうか。残念ながら、その起源ははっきりと知ることはできませんでしたが、米菓製造会社の方のお話しでは、油が普及し(といっても、裕福な階層において)、天ぷらが食べられた頃と期を一にするのではないかということでした。このウェブサイトの「植物油こぼれ話:発見!植物油と和菓子の愉しい関係」で、かりんとうの紹介をしていますが、油で揚げるお菓子ということで、同じような時期にあられやせんべいを油で揚げるという発想があってもおかしくはありませんね。

  最新食品加工講座「米とその加工」(倉沢文夫氏著)では、油で揚げることの利点を次のとおり整理されています。
(1) 高温で揚げることで、生デンプンをアルファーデンプンとする。
(2) 蛋白質を凝固し、口当たりを整える。
(3) 油分を増し風味、栄養を向上させる。

  これらは、揚げせんべいだけの特徴ではなく、油で揚げるすべての食品に共通することですが、せんべいなどの米菓はデンプン質の多い食品ですから、おいしさがより引き立つのかもしれません。

  どのような油で揚げるのかについては、冒頭でこめ油を紹介しましたが、多くの植物油が揚げせんべいに使用されています。それぞれの油が持つ風味とのコラボレーションが、特徴のある味を生み出しているようです。

  保存性が求められる揚げ菓子ですから、揚げ油には何よりも安定性が求められます。このため、不飽和度の低いオレイン酸を多く含む油が使用されています。なたね油、こめ油、とうもろこし油、綿実油などが主として使用されています。また、高オレイン酸のひまわり油やべにはな油(サフラワー油)の普及に伴って、これらの植物油がよく使用されています。

  揚げる温度は、あられやおかきが160〜180度ですが、せんべいでは240〜260度の高温で揚げます。

  揚げせんべいなどのほかにも植物油が使用されている米菓があります。“サラダあられ・せんべい”などです。これらは油で揚げるのではなく、サラダ油を表面に吹き付けて作られています。その起源は、昭和30〜35年頃ではないかとされています。このころ、サラダ油は高価な商品でしたので、サラダ油を使用することが高級感を醸し出したのではないでしょうか。軽いタッチで食べるのにぴったりの米菓ですから、いまでは“サラダ感覚のあられ、せんべい”と理解する方がよいかもしれませんね。

【 図3 揚げせんべいとサラダせんべい 】

揚げせんべいとサラダせんべい

  日本の伝統食品である米菓と植物油のコラボレーションが、これからも、米菓業界の皆様の工夫で、どんな味を生み出していくのか楽しみです。私ども製油業界も、おいしい揚げ米菓の開発に貢献できる植物油の研究を続けたいと考えています。そして、“割れても末に会わんとぞ想う”のロマンを思い出し、おいしい揚げせんべいやサラダあられをお楽しみいただきたいと願っています。

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