油糧種子の需給に不安材料 ― 主要産地を襲う異常高温と乾燥もしくは多雨 ―
3.不安材料が生じた世界の大豆生産

(2)世界の大豆生産も減産へ

 アメリカ産大豆の減産により、世界の大豆生産も減少に転じました。アメリカ農務省の農業生産予測は、2007/08年産の世界の大豆生産量は、前年より約1,500万トン下回る2億2,130万トンになるとの予測を行っています。

 概ねアメリカの減産分だけ、世界の生産量の減少する見込みとなっています。この予測は、ブラジルの大豆は微増、アルゼンチンは前年並みという見込みを含んでいますが、これら両国はこれから播種が行われますので、これまでの傾向が持続するという前提に基づくものです。

 農務省の予測で注目するべきことは、世界の大豆需要量が2億3,390万トンと生産量を上回り、単年度では供給不足が生じることにあります。需要量の増加は、中国が前年を500万トン上回る輸入を行うこと、ブラジル、アルゼンチンにおいて搾油量が増加するという見込みに基づいています。

 植物油Information第54号でお伝えしたとおり、中国の大豆圧搾能力は8,000万トンに達したとされる中で、旺盛な国内の植物油需要に応え、大量の大豆輸入需要が発生すると見込まれています。

 これに加え、アメリカではバイオディーゼル向けの大豆油利用量が増加することが見込まれており、その分、輸出量の減少に結びつくこととなり、その結果、国際需給の逼迫傾向が一層強まり価格が堅調となることが見込まれています。

 このような予測を背景に、大豆の国際価格(シカゴ市場先物価格)は1ブッシェル9ドル台から一時8ドル台へと下げましたが、再び9ドル台を超え上昇に転じています。今後も、価格は上昇傾向を伴いつつ、アメリカ大豆の生産量が確定するまで天候相場と称される一進一退を繰り返すものと見込まれます。


【 図2 世界の大豆生産量の推移 】

図2 世界の大豆生産量の推移
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